悩んだ結果
アイデアを出しあって創ったシーンを
まるまる2シーンカットした。
今回、外組初出演の3人の客演さん。
そして
池袋演劇祭に参加していることで
はじめて外組を観るお客様が
多くいることが予想された。
観やすい尺で、まとめることを優先した。
ちなみにカットしたシーンは
みんなが炭坑夫の奥さん役に扮して
旦那の悪口を、ワイワイ言うシーン。
稽古場で、爆笑しながら創ったので
是非お見せしたかった。
もう一つは
炭鉱PRの映像シーン。
わざわざ撮影、編集をしてもらったが
尺の為にカットした。
映像チームには、この映像をDVDの
特典映像として残させてもらうことで
納得してもらった。
マッハ、とんちゃん
ごめんなさーいっ。
みんなで考え、汗を流しながら
創ったものをカットするのは
断腸の思いだった。
しかし、ぼくらは挑戦する
これで賞を狙うっ!
劇場に入ってからは
早替え場所の取り合いが熾烈を極めた。
楽屋に戻っている時間がないので
舞台奥の3畳くらいのスペースで
6人が着替える。
しかも、舞台監督の村上くんが
居場所がないので本番中は
そのスペースにずっとスタンバっている。
熱気の籠もった薄暗い3畳のスペースに
おじさんが7人。
地獄絵図だ。
限られたスペースで一斉に着替えるのには
譲り合いが必要だった。
「もっとソッチ行けよ!」
「そっちのほうが広いだろっ!」
「俺のヘルメットがねぇ、誰だよっ!」
「俺の衣装の上に脱ぎ散らかすなよっ!」
「リポDのカラ瓶、転がしとくなよっ!」
「俺が用意した水、飲むんじゃねぇよっ!」
「お前のなの?じゃ名前書いとけば〜」
チームワークで乗り切った。
スタッフ、出演者
一丸となって挑んだ『ひみずや』は
初参加にも関わらず
池袋演劇祭 舞台芸術振興会賞を受賞した。
賞レースに、はじめて参加したが
なにかしら見える形で結果が残るのも
良いものだと思った。
しかし、見えないところに芝居の
本質はある。
見えないからこそ、人々は熱狂する。
得体の知れない芝居を、もっと知るために
ぼくらの挑戦は続いてゆく。
