「其の八」
まずは、作品の題材選びからはじめた。
アツ苦しくて、泥くさい
それが外組には合っている。
よし、職人さんの物語を創ろう!
いろいろ調べ、花火師を選んだ。
今まさに、ドデカい花火を打ち上げようと
している外組にピッタリだ。
パッと咲いて、パッと散る。
散っちゃ、ダメだろっ!
実際に花火師さんに取材にも行った。
工程順に工場内を案内していただき
帰りには小道具用に花火玉のガワまで
いただいた。
高城煙火店さま、ファイアート神奈川さま
本当にありがとうございました。
タイトルは
『爆華や』(ばっかや)に決めた。
字ヅラも響きも、外組らしい。
劇場は
「アサヒ・アートスクエア」
イベントホールなので舞台以外に客席も組む。
公演回数は全20ステージ。
客演さんには
「もののふや」に続き、両國宏さんと
出演オーディションを受けにきてくれた
岡田賢太郎くんに決まった。
六人で3000人、これで勝負だ!
怒涛の営業活動もはじめる。
小劇場は手売りが基本
携帯に入ってる連絡先にはすべて連絡する。
「そんな時だけ連絡するな!」
怒る人も当然続出する。
一人だと凹むので
みんなで励まし合いながら連絡を続けた。
ポスターを作り
知り合いの店、駅にも貼ってもらった。
浅草では、お店を回り
頼み込んでチラシを置いてもらう。
会える人には会いに行き、公演にかける
想いを聞いてもらった。
無名の劇団が最大の効果を出すには
ドブ板営業しかない。
同時進行で稽古もはじまり
とにかく動き続けた。
さすがに身体が悲鳴をあげた。
日に何度か、呼吸が浅くしかできないほど
胸や背中に痛みを感じた。
それでも、ロキソニンを飲みながら
飲みの席に顔を出し続けた。
胃潰瘍だった。
平気な顔を装っていたが、身体は正直だ。
心と身体は密接に関わりあってる。
「やっぱ芝居は心だな!」
とか言いながら、ロキソニンを倍飲んだ。
休んでる時間などなかった。
応援してくれる人がいて
支えてくれる人がいる。
一度くらい、死ぬ気でやってみろ!
台本も相変わらず修正を重ねる。
いよいよ最終稽古…
まだ出来てないシーンがあった。

