この頃三上は 

年間7、8本の舞台に立っていた。   
稽古期間を考えると、ほぼ一年中 
芝居漬けだ。 

舞台のギャラはチケットバックのみ。

一カ月の稽古と一週間の本番で得られる  
収入は、よくて10万円程度。 

合間を縫って、バイトもするが 
そうそう都合よくバイトに入れる訳もなく。  

駅前で消費者金融の看板を見つけては 

「いつか売れれば大丈夫。」 

と、呪文のように唱えては借金を重ねた。  
 
そんな生活を5年間続けると 
後半は絵に描いたような自転車操業になる。 

借金返済の為に借金を重ねる。 

気がつけば、18社から960万円。 
 
毎月の返済は30万円。 

月末には、催促の電話が鳴り止まず 
バイトに行っても、昼食は公園の水道。 

お金が落ちてないかなと 
下を向いて歩きながら日々過ごしていた。 

最後に行った消費者金融で借りられたのは 
5千円だった。 

「こりゃ、もう詰んだな…」 

当時、過払い金請求とかのCMは 
やっていたのかな⁇ 
やっていたとしても、そんなの目に  
入らないくらい追い込まれていたと思う。 

ご利用は計画的に!の言葉も届いてないので 
無理もない。 

そんな時、はじめて友人に聞き  
債務整理というものを知る。  

持つべきものは、債務整理経験済みの友だ。 

しかし三上の 
世間知らずにも程がある。 

良い子のみんなは 
高校中退で役者はじめると 
こうなっちゃうのでお気をつけくださーい! 
 
はじめて司法書士に相談した時は褒められた 

「よくそんなに借りれましたね。」 

褒めてねぇ〜

それからは舞台出演を減らして 
バイトと芝居のバランスを整えた。  
 
ご利用は計画的に!だ。 

その後、何年もかかったが  
現在は完済しているので、ご心配なく!  

てへっ 

話しはもどって外組。 

そんな状況だったので、何も考えずに 
劇団活動を続ける訳には行かなかった。 

自分と約束をした。

3年間で3000人動員できる劇団になる。 
できなければ、役者を辞めよう。  

外組メンバーを巻き込む感じに 
なってしまうが、話してみると  

「6人で3000人動員したら、すごくねぇ!」

「超〜アツいじゃん!」 

「伝説だ!これは伝説になるっ」 

 …バカで良かった。 


これにより
3年間で、3000人動員できなければ
外組解散、三上役者引退。

外組の挑戦がはじまった。

 そんなこんなで迎える 
 外組其の参
『極悪河童譚』 

三回目にして「◯◯◯や」という 
タイトルへのこだわりが崩れるのも  
外組らしい。 

しかし、この時  

思いもよらぬ一報が、中野から入る。 

電話口で、中野は泣いていた。