みんな、慌てて荷物をまとめはじめた。

しかし、撮影なので荷物が多い。 

とりあえず、バケツリレーの要領で 
荷物を岸に渡しはじめた。 
 
しかし次第に 
立っていられないほどの水流になり 
水位はすでに、胸にまで達していた。 

このままでは、マズい! 

ロープを張り、支えにしなくては 
流されてしまう。 

岸側にいた監督が叫ぶ 
「大丈夫です。ロープ買ってきます!」 

 一同、中州で監督の帰りを待つ。 

監督が帰ってきた。 
手にはコンビニのビニール袋。 

 ⁇ 

出てきたのは、ぺらぺらのビニール紐 
そう、スズランテープだ。 

だから、ロープだって〜!   

「これを何重にもすれば、大丈夫です。」

大丈夫じゃねぇ!

監督は、スズランテープを解きだした。 

焦りと強風に煽られ 
スズランテープは出す端から絡まり合い 
まるでボンボンのようになっている。 

それでもなんとかテープを張り 
岸側は木に結び、中州側は二人で持って 
それを頼りに荷物を運びはじめた。 

三上も何度か行ったり来たりしたが 
テープが水流に耐えられず 

だってスズランテープだからね!

いよいよ切れてしまう。 

三上、50メートルほど流されるも 
なんとか岸に辿り着いた。 

みんなも荷物を運びながら岸にあがっていた。 

テープも切れ、更に水位もあがっている 
もう、あとの荷物は諦めよう。 

誰もがそう思い、中州に目を向けると  
切れたテープを持ちながら呆然と立ちすくむ 
二人がいた。 

水位は更にあがり 
二人が自力で岸に渡るには危険過ぎる。 

もう救助を呼ぶしかない! 

どこに連絡して良いか分からず 
とりあえず警察に電話してみる。 

「もしもし 
 多摩川の中州に取り残された者ですっ!」 

正確には 
中州に取り残された者を、見ている者です! 
だが、正しているそんな余裕はない。

何もせずに救助を待つように言われ 
固唾を飲んで二人を見守る。 

中州が、どんどん狭くなっていく。 

一刻を争う状況だ。 

遠くからサイレンの音が聴こえてきた。 
近づくにつれ、大きくなるサイレン! 

あまりのサイレンの大きさに  
事の重大さに気づいた。

多摩川の土手に 
パトカー2台、救急車2台、消防車が3台 
が入ってきた! 

どんどん集まってくる、やじ馬たち。 

救急隊に 

「早くボートで救助してください!」 

懇願すると、救急隊員が 

「無理だな…ヘリコプターを呼ぼう。」 

えっー!! 

これからテレビでしか見たことないシーンを 
目の当たりにする。