三上は、東京の高校に進んだ。
東京と言っても、八王子。
八王子と言っても、高尾寄り。
三上は、東京の高校に進んだ。
全寮制ではなかったが、寮に入った。
親元を離れての東京暮らしに
胸躍らせたのを覚えている。
ワクワクドキドキの
東京ライフが、はじまるぜぃ!
待っていたのは、鬼の縦社会。
先輩とすれ違う度に、90度挨拶。
座れと言われれば、もちろん正座。
敬語は当たり前だが、省略語も許されない。
CDのことをコンパクトディスクと言った時は
自然と涙が出た。
時は平成になっていたが、寮は昭和だった。
学校行事は、全て寮生が運営していたので
1年生は当然、全ての行事に駆り出される。
寮祭では、模擬店出店
仕入れや売り込みと、こき使われた。
体育祭では、応援団
昼夜を問わず、声が出なくなるまで叫び続けた。
文化祭では、学生プロレス
怒鳴られながら、来る日も来る日も
バックドロップをされる練習をする。
痛みと、置かれている状況が理解できずに
目眩がした。
これぞ青春!
いや、自主的にやるのと
強制的にやらされるのでは大きな違いだ。
そして、これは大学時代の話ではなく
高校時代の話だ。
寮生活のストレスから
夜な夜な八王子の街で遊び回り
三上、高校1年にして美人局に遭う。
その事件が発覚し、夏休み前に停学
早々に両親の期待を裏切ることになる。
これぞ青春!
いや、母親が陰で泣いていたのを知っている。
そんな高校1年の文化祭
出し物として、コントみたいなものをやった。
ステージに立ち、拙いながらに演じる。
それが、役者になるきっかけ
んな訳、あるかーい!
自主的にやるのと強制的にやらされるのでは
大きな違いだ。
そんなクレイジーな寮生活は
あっという間に過ぎた。
寮生活にも、すっかり慣れた高校2年。
やっとこさ
三上、演劇と出会う。
場所は新宿、シアターアプル。