取引慣行の問題
またまた更新が滞っており申し訳ありません。遅くなりましたが、今年もよろしくお願いします。
さて、今年1番最初に取り上げたいのは、取引慣行の問題です。先日、繊維産業における取引慣行について伺う機会がありました。その内容を会話形式で示すと以下のような内容でした。
商社A「この生地100反欲しいんだけど。」
機屋B「了解です。注文ありがとうございます。」
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機屋B「100反できましたので、納品させてください。」
商社A「いやいや、あれは注文じゃなくて、独り言だから全部は買わないよ。でも、20反は欲しいから買うよ。」
機屋B「本当ですか・・・では、10万円になります・・・」
商社A「今手元にお金ないから手形決済ということでよろしく。」
機屋B「うちも手元に資金なくて、原材料費の支払いが・・・」
商社A「手元にお金がないから仕方ないじゃないか。」
機屋B「本当ですか・・・」
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帰りがけの機屋Bに商社Aのエントランスで男が声をかける。
商社A’「そこの機屋さん、その10万円の手形9万5千円で買うよ。」
機屋B「これ10万円の手形なのに・・・でも、仕方ないか・・・」
当然、商社Aと商社A’はグルです。前者の発注形態を「つぶやき・ささやき」。後者の決済形態を「歩引き」というそうです。 こういう取引慣行がまかり通っていたのも、繊維産業は工程ごとに企業の大小の差が大きいことや、発注を口頭でやっており、契約書がないといった理由があるとのことで、 こうした状況を改善するために、民間ベースでも精力的な取り組みがなされているようですが、まだまだ問題を根絶するのは至らないようです。
やはり日本の中小企業は付加価値の源泉でありますが、大企業との取引においてはどうしても不利な立場におかれてしまうという問題があります。しかし、こうした取引慣行の不透明さは、無駄な生産やそれに伴うコストの上昇につながることになります。むしろ、取引慣行を公正なものにするだけでも、日本の生産性が高まるのは確実でしょう。こうした問題は、素形材、広告、建築といった中小企業の多い産業には依然として多く見られるようです。
こうした取引慣行は契約自体が民間ベースでもあり、明らかな下請法違反、独占禁止法違反以外は、政府がなかなか関与できないという問題もあります。 しかし、こうした取引慣行の改善が無駄の削減につながれば、それが大企業にとっても利益になるということをベストプラクティスとして示し、広く公報したり、大企業を中心に下請法の遵守を訴えていくことにおいては、政府が大きな役割を果たすことが期待されていると言ってもいいのではないかと思います。