生産と流通の関係
商品の「価値=価格」がどう決まるのか。経済学では、需要と供給で決まるというのが一般的である。つまり、欲しがっている消費者の数と生産者が商品を作る数というのが基本的には大きな「価値=価格」の決定要因となっている。
しかし、現実にはなかなかその通りにはなっていない。グローバル化の進展で、一国の中で生産し、消費するという構図が崩れつつあるからである。売れない商品は海外にその市場を求めていくことになるし、売れる商品は海外で作ってでも輸入されることになる。したがって、商品の他国との融通により、商品の供給量はいくらでも変化することになる。一方で、全世界で単一の市場として成立しているような商品はそれほどない(石油にしてもアメリカとドバイのほぼ二極化)。そんな中で今一番価格決定に大きな影響を与えているのは流通である。とは言っても、ここで言う流通は、単に商品を右から左に流すだけではなく、生産の状況の情報と、市場(消費者)が何を欲しがっているかを十分に理解しており、さらには、マーケティング戦略により、消費者の需要に対してすら影響を与えている。
流通というものは商品の生産と違いニッチを狙う利点というのが限りなく低い、例えば、新潟-静岡間のフライトに特化した航空会社がいても、そこに需要がなければ、たとえサービスを充実されて、高付加価値化しても生き残るのは困難である。したがって、流通はどんどん規模を追求し、寡占化、独占化が進むことになる。最近で言えば、ヤマダ電機やユニクロの大規模化がいい例であるし、コナカとフタタ、大丸と松坂屋のような合併も相次いでいる。
しかし、流通のそのような流れにつられて、生産においても規模の追求がなされるのは、懸念が残ると思われる。生産こそがそれまでの狩猟生活のような不安定な生活から人類が抜け出した決めてであり、その生産においては、ニッチな商品の価値が大きいこともしばしばある。例えば、大田区の小さな工場がNASAのロケットの先端部分を作っていたり、北陸の小さな機屋が海外大手ブランドの生地を作っている例もある。
流通の進歩は消費者の利益には確実につながるが、その流通の進歩が生産にどのような影響を与えるかをしっかりと分析し、特にニッチな生産が守られていくような仕組みを作る必要がある。生産が衰退することは、消費者の購買力の低下につながるのは明らかであるし、特に日本において高付加価値なものづくりをベースに豊かな国民生活を維持するためには、トータルで見た経済活動の設計というものを今一度行う必要があるのではないか。