ソフト投資を支援する税制
先日、フジサンケイ ビジネスアイ紙に「映画製作に優遇税制 英国ロケ復権の兆し」という記事が載っていた。イギリス政府が映画製作に対する優遇税制を講じたことで、ウォルト・ディズニーを始めとした人気シリーズの撮影の誘致に成功したという内容だ。
具体的な税制の制度としては、記事には、英国内での映画製作にかかる税金を作品の規模に応じて16~20%削減するとあるだけなので、正確なことはわからないが、投資額の一定割合を法人税から減税する投資減税のような形だと思われる。
このような税制はイギリスだけではなく、以前にはフランスでも行われていた。
しかし、日本ではそのようなアイデアすら出てこないでいる。
日本で行われるソフト産業への支援といえば、もっぱら補助金が主流、とは言っても、重工業への支援に比べたら、非常に微々たるものになっている。その原因は、基本は業界ニーズの弱さであるが、現在、ゲーム、映画、アニメ、マンガ、ファッションといった日本のソフト産業は徐々にその地位を上げつつあり、世界的には重工業に負けずとも劣らない注目を集めつつある。
けれども、それは政策のレベルにはまだまだ反映されない。麻生外務大臣が個人的にマンガが好きということで、マンガ振興に積極的ということはあっても、それ以外の分野について、政策的に大きく後押しをしようという雰囲気はほとんどない。
それは、日本の政策決定システムが高度成長期からずっと引きずっている重工業産業中心から変わっておらず、一方、ゲームや映画のようなソフト産業に従事する人もまた政治家や役人になんら期待をしていないからではないか。
しかし、ソフト産業は今後も日本経済が持続的成長を実現するためには不可欠な産業であるし、経済的な意味だけでなく、ソフト・パワーとして安全保障にも資する産業である。このような産業に注目し、旧来の政策決定システムを越えて、積極的な振興を図っていくのが今後は重要である。
そして、そのためには、役所が固い頭で審査し決定する補助金ではなく、どのような企業にも適用され、民間のインセンティブを引き出し、民間のアイデアを最大限に活かせる税制を講じる必要がある。
ソフト投資を支援する税制を講じる際には、どのような費用を対象とするかという点について、非常に難しいところがある。しかし、そのような難しさを踏まえたうえでも、この税制を講じて、積極的なメッセージを発することが、アジアの中で今後も日本が経済的にだけでなく、文化的にも存在感を示していくために必要不可欠であると考える。