ふと気がつくと、ため息をついていることが多くなっている。
自覚があるだけ、まだましなのだろうか。
突然の父親の死を受け入れようとして、受け入れられない妻。
<愛する人の大切な人の死> に初めて対峙するぼくは、妻との向き合い方がわからずにいる。
こういうときに限って、二人の息子はいない。
妻の溺愛する次男は、義父の告別式の日から後ろ髪を引かれるように合宿免許に行った。
妻とよく衝突する長男は、大学のサークルの合宿や塾のバイトで家にいる時間が短い。
孫の中で一番義父にかわいがられた長男は、通夜、告別式では泣きながらも、妻や義母や遺族を
気遣うという、本当に心根のやさしいところを見せてくれた。
ときどき妻から弱気なメールが届く。
今は、妻を一人にしたくない。
喉元までせり上がってきたため息を、ぐっと飲み込む。