■ストーリー
北海道のある炭鉱の町、その鉱員住宅に一組の母娘が暮らしている。
完全閉山により、もうすぐ炭鉱を離れる母・由里子は、炭鉱にやって来た17年前へ想いを馳せる。
70年代後半、生き別れだった父の死をきっかけに、父の代わりに炭鉱の坑夫として働き始める由里子の夫、健司。
大学を中退し、周りの人々にも打ち解けず、拒絶しながら殻に閉じこもる健司。
実は健司・由里子にはそれぞれ誰にも言えない秘密があった。
地元の坑夫たち、健司を訪ねてくる学生運動の仲間たち、全てを飲み込んで、ヤマはうごめき、唸り、そして「あの瞬間」がやってくる・・・・・
野良犬弾第一弾プロデュース公演。ということで過去の二作品と比べてもシリアス成分高めです。
作演出を担当された増沢望さんのある意味「私小説」とも言えるこの話は、どこかできっとあったんだろうな、と思わせる切ないお話でした。
あらすじからある程度の話の展開は想像できたのですが、それでも最後の最後、とてつもなく優しく妻の名前を呼ぶ声には参りました。
本編中では判子と留守電がキーアイテムになっていて、留守電の使い方もある意味予想通り(すみませんヒネタ客で)だったんですが、それを受ける由里子さん役の女優さんが二人とも良かったです。でも「声」が形見になるのはやっぱり悲しいなぁ。
あれからどれだけ新機種が出てきても野村さんちの留守電は「あの」電話だったんだろうな。
おかげで健司の死後生まれてきた娘さんも顔は写真でしかわからなくても声はわかるんだよね。でも残った声はどこかおっちょこちょいな感じなのに実際は尖がった人だと言うギャップもまた楽しく。
冒頭、二つの時代が同一場面に混在するのが一瞬?だったんですが、その演出がラストシーン、ありえない家族三人の情景を実現させたんだなと思うとほろりとしました。
一応Wキャストの両方観せていただきましたが、どちらがどう、と言えるほどの目は持っていないのであまり深くは言及しないでおきます。
はっきり違うなと思ったのが歓迎会の炭坑節のシーンで、女物の短い襦袢を着せられた健司が、高原さんはやたらと裾を気にしていたのにWキャストの千葉さんはまるで気にしていないところがご本人の性格なのか役解釈の違いなのかわからないですがおかしかったです。
外見は千葉さんの方が細身なのに、よりナイーブそうなのが高原さんなのが意外な感じでしたし。
ただ高原さんの健司はやっぱりどうしても星座の力を持っていない直人を想起してしまったのが観ているこちらが申し訳ない感じ。「人の温もりに飢えていて、だけど手に入りそうになったら怖くて逃げ腰になる」キャラが、どうしても直人と被っちゃうんですよね。
脚本からそうなんだから関係ないのはわかってるし、いい加減別物として観ないといけないんですが。由里子さんもちょっと涼子さんに似た感じだったので余計にそう感じてしまいました。
終演後には色々とお話してもらったし、渡したかったものは渡せたし、で楽しい東京行でした。
余談ですがルークの革ジャン重い…あんなの着て夏場にアクションて人間業じゃねーよとか思いました。3キロはありそうでした。イクサ変身の時も好きにやっていいよと言われて好きにやったのがアレだったそうです。楽しそうだったけど、やっぱり楽しかったらしいです。