プロレス人間交差点 しょこたん☓原田イチボ 前編「令和の女子プロレス論」 | ジャスト日本のプロレス考察日誌

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「人間は考える葦(あし)である」

 

 

 

これは17世紀 フランスの哲学者・パスカルが遺した言葉です。 人間は、大きな宇宙から見たら1本の葦のようにか細く、少しの風にも簡単になびく弱いものですが、ただそれは「思考する」ことが出来る存在であり、偉大であるということを意味した言葉です。

 

 

プロレスについて考える葦は、葦の数だけ多種多様にタイプが違うもの。考える葦であるプロレス好きの皆さんがクロストークする場を私は立ち上げました。

 

 

 

 

さまざまなジャンルで活躍するプロレスを愛するゲストが集まり言葉のキャッチボールを展開し、それぞれ違う人生を歩んできた者たちがプロレス論とプロレスへの想いを熱く語る対談…それが「プロレス人間交差点」です。

 
 
 

 

6回目となる今回は絵描きのしょこたんさんとライターの原田イチボさんのプロレス女子対談をお送りします。

 

 

 

 

 

 



 (画像は本人提供です)
 

しょこたん 

 幼少期より絵を描く事が好きで、代々木アニメーション学院にてキャラクターデザインを学ぶ。

卒業後も独自で活動し、女子プロレスに出会い、女子プロレスの素晴らしさを絵で伝える活動を開始。現在に至る。 

 プロモーション

 twitter→@sktn0511 

 Instagram→sktn0511




 


 

 

 

 

 




(画像は本人提供です)

 

 原田イチボ

1990年生まれ、千葉県出身。編集プロダクション「HEW」所属のライター。


芸能人やクリエイターなどへのインタビューを中心に、幅広い媒体で執筆を担当。女子プロレスラーを招いたトークイベントのMCも手掛けている。

 

 

 

 


 

 

 



 



 

 

今回のお二人の対談のテーマは「令和の女子プロレス論」です。

 

 

女子プロレスとの出逢い、今の女子プロレスの魅力、好きな名勝負までプロレス女子の二人が語り合う対談となりました。


こちらがこの対談のお品書きです!

 

 

 

        

(主な内容)

1.女子プロレスとの出逢い

2.今の女子プロレスの魅力

3.二人が語りたい女子プロレス選手(日本人・外国人問わず)

4.二人が好きな全日本プロレス名勝負

5.あなたにとって女子プロレスとは?

 

 


 是非ご覧ください!

 

 

 

プロレス人間交差点 

しょこたん☓原田イチボ

前編「令和の女子プロレス論」

 

 

 



 

 


 

 

女子プロレスとの出逢い

才木玲佳さんが東京女子プロレスに参戦することになったのと、 アイドル時代の活動から気になっていた伊藤麻希さんを生で見たくて…」(原田さん)

「ブシロードの『BanG Dream!(バンドリ!)』が好きで、声優さんの生配信にスターダムのひめかさんとなつぽいさんと出演していて、そこで女子プロレスの存在を知りました」(しょこたんさん)

 


 

──しょこたんさん、原田さん、「プロレス人間交差点」にご協力いただきありがとうございます!今回は「令和の女子プロレス論」と題して、男性ファンが多い傾向にある今の女子プロレスについて、プロレス女子のお二人に語っていただく対談を企画しました。よろしくお願いいたします!

 

しょこたんさん よろしくお願いいたします!

原田さん よろしくお願いいたします!


 

──まずはお二人の女子プロレスとの出逢いについてお聞かせください。


原田さん 私は元々DDTを見ていたんですけど、当時「筋肉アイドル」として話題を呼んでいた才木玲佳さんが東京女子プロレスに参戦することになったのと、 アイドル時代の活動から気になっていた伊藤麻希さんを生で見たくて、2016年に東京女子プロレスを初観戦しました。


──入口が東京女子プロレスだったんですね。


原田さん はい。元々女子アイドルが好きだったので、アイドルを追っかける感覚で楽しめました。一時期は都内の興行は全て観戦し、大阪にも遠征したことがあります。東京女子から入って、他の女子プロレス団体も見るようになりました。


──なるほど。ちなみに東京女子プロレスがきっかけで出逢った女子プロレスの世界についてどのように感じられましたか?


原田さん 私は全日本女子プロレスや女子プロブームを知らない世代で、いかにも強そうな女性たちが闘っている世界なんだろうなと漠然と思っていたのですが、アイドルみたいな可愛い子たちが多くて驚きました。



──ありがとうございます。ではしょこたんさん、お願いします。


しょこたんさん 元々のブシロードさんの『BanG Dream!(バンドリ!)』が好きで、声優さんの生配信にスターダムのひめかさんとなつぽいさんが出演していて、そこで女子プロレスの存在を知りました。そこから 2021 年 3 月3日スターダム日本武道館大会で行われたジュリア VS 中野たむの「令和の髪切りマッチ」を見てから女子プロレスにハマりました。



──ジュリア VS 中野たむはどのようにご覧になられましたか?



しょこたんさん 当時はジュリアさんもたむさんのことも知らなかったんですけど、「こんな綺麗な女性が、こんなに激しい闘いをするんだ!」と驚きました。あとこの試合はワンダー・オブ・スターダムの王座をかけた一戦でしたが、スターダムはワールド・オブ・スターダムが最高峰のベルトという位置づけだったと思うので、その序列を変えてしまうジュリアさんにすごく興味を持って、彼女を応援するようになりました。


原田さん 私はジュリアVS中野たむの髪切りマッチは現地で観戦しましたよ。


──そうだったんですね!


原田さん 戦前から週刊プロレスで「髪切りマッチはありか、なしか」とかなり盛り上がっていたじゃないですか。「髪の毛を賭ける意味はあるのか?」や「髪を切られるのは悲しいから見たくない」など否定的な意見も多かった印象ですが、いざ試合が終わってみるとハッピーな感じにまとまったんですよね。


──結果はジュニア選手が敗れて丸坊主になるんですけど、髪型がかなりカッコよくなってしまうというエンディングでしたね。


原田さん 中野たむさんが丸坊主になったジュリアさんにマイクで「似合ってるじゃん」って言うんですよ(笑)。髪切りマッチだろうがなんだろうが「ハッピーな気持ちになれること」が、今の多くのファンがは求めているものなのかなと感じました。


──もし中野たむ選手が敗れていた場合はハッピーな結末にはならなかったかもしれませんね。


原田さん そうですね。もっと悲しいエンディングになっていた可能性がありますよ。やはりジュリアさんが髪を切ったら似合っていたというのが大きいので……。



今の女子プロレスの魅力とは?

「今の女子プロレスは日常の延長として闘いをなっている印象があります」(原田さん)

「人の感情に訴えかけるような選手が今の女子プロレス界では人気があるんだろうなと思います」(しょこたんさん)



──ありがとうございます。では今の女子プロレスの魅力についてお二人に語っていただきましょう。


原田さん 私は昔の女子プロレスを知らないので、あまり比較はできないんですが、今の女子プロレスは、あくまで日常の延長として闘いをやっている印象があります。普段仲がいいとか、ご飯を食べに行く仲というのをそのままリング上に昇華していくところが魅力なのかなと思います。

 

──それはあるかもしれませんね。

 

原田さん 特に東京女子のファンは選手同士のワチャワチャを見るのが好きなんですよ。プライベートで仲がいいことが試合のノイズにならず、むしろ試合を一層楽しませてくれる要素になっています。仲のいい様子をファンが求めていることを選手も理解しているので、オフの日に一緒に遊んだ写真などをSNSで見せてくれます。



──ちなみにしょこたんさんは東女はご覧になったことはありますか?


しょこたんさん 会場での観戦はありませんが、動画や SNS でいくつか見ています。原田さんがおっしゃるように東女の選手は本当に仲がいい印象があって、殺伐感が少ないような気がします。でもそれもすごく楽しいですし、素晴らしい女子プロレス団体だと思います。


原田さん 私もスターダムはスターダムで好きなので、試合前の会見で選手同士が喧嘩しているシーンとか結構見ますよ。


──スターダムの記者会見は「この人は性格がいいな」「この人は気が強い」とか選手の性格がよく出ていますよね。


原田さん 確かにそうですね。


──しょこたんさんは今の女子プロレスの魅力はどこにあるとお考えですか?


しょこたんさん 今の女子プロレス界で注目を集めている人は SNS の運用がうまいなというのがひとつあるような気がして、特にウナギ・サヤカさんはご自身の性格や行動理念からくる「傾奇者スタイル」を貫いて、老若男女問わず高い支持を集めているのは凄いなと思います。ただの変わり者ではなくて、高い志と分別を兼ね備えた選手で、時には自分の弱いところも素直に認めてさらけ出すところがファンの共感を呼んでいます。人の感情に訴えかけるような選手が今の女子プロレス界では人気があるんだろうなと思います。




──中野たむ選手もウナギ・サヤカ選手もそうですが、どこか大仁田厚さんの要素を感じるんですよ。



しょこたんさん  ハハハ(笑)中野たむさんは大仁田さんの弟子ですからね。



──二人ともセルフプロデュースの権化みたいな女子プロレスラーじゃないですか。そこが大仁田さんにダブりますね。



しょこたんさん セルフプロデュース力が長けていて、自分のことを客観視して売り出し方をよく分かっているなと見ていて感心します。あと JTO(ジャストタップアウト)の Aoi さん、マリーゴールドのジュリアさん、スターダムの中野たむさんは人間的にも魅力があってずっと気になってます。




──Aoi 選手はどの部分が気になるんですか?




しょこたんさん Aoi さんはダンス経験があり、入場時にヒップホップのダンスをして出てくるんです。ダンス仕込みの試合スタイルがまたセンスが良くて華麗な動きをされるんです。良い意味でプロレスラーという感じがしなくて、戦いの中で自分を表現するアーティストのように感じます。中性的でかっこいいルックスでもあるので、これから何らかのきっかけですごい爆発するんじゃないかなと思います。




──Aoi 選手は怨霊選手のように強いのか弱いのか分からないけど、のらりくらり、しぶとくて負けないプロレスラーになっていく可能性がありますね。



しょこたんさん そうですね。すごい目を引きますね。



煽り合い、挑発合戦、ファンのリプやチャチャ入れ、選手への批判、悪口、誹謗中傷…女子プロレス界隈のSNSについて

「試合に向けた想いを選手自身が発信するのは素晴らしいんですけど、SNSの使い方に関してはファンも含めて考えていかないといけません」(原田さん)

「煽り合いは選手同士がやるのは大会を盛り上げるためでしょうし良いと思いますが、それを見て選手や公式に批判のリプを書いたり、お互いの選手のファンまで争ってしまうのは残念に思っています」(しょこたんさん)



──先ほどしょこたんさんからもSNSについて言及がありましたが、これはスターダムが特に目立つんですけど、SNSを使った煽り合い、挑発合戦があるじゃないですか。そこにファンがリプしたり、間にチャチャを入れたり、中には一部ですが、挙句の果てに図に乗って選手に批判、悪口、誹謗中傷して乗っかる構図も存在している。こちらについてお二人はどのように思われますか?



しょこたんさん スターダムの場合、必ず大会前になると「そろそろかな」という雰囲気がありますよね。煽り合いは選手同士がやるのは大会を盛り上げるためでしょうし良いと思いますが、それを見て選手や公式に批判のリプを書いたり、お互いの選手のファンまで争ってしまうのは残念に思っています。気持ちがヒートアップすることで言葉もより過激になってしまう。また、それを見て傷つく人や、怖いと思う人もいると思うんです。煽り合いが盛り上がれば盛り上がるほど話題になって、興行集客に繋がるのかもしれませんけど、私は一番大切なのは試合内容だと思っているので、SNS プロレスにはそこまで力を入れなくても良いとは思いますね。



──個人的にはSNSの煽り合いってあまり日本には合わないような気がします。中には勝手にファン同士で大喜利みたいになっている時もありますからね。煽り合いが結果的に興行集客には結びついているのかと言われるとそこまで繋がっていない印象があります。


しょこたんさん 海外もあんなにネチネチしたものはないでしょうし、そこは最近の日本のプロレスの独特な感じがします。


原田さん 今は何事もSNSがきっかけで物事が動く側面があるじゃないですか。普段見ていない団体だとしてもSNSをきっかけに会場に足を運ぶようになったりするので、SNSを動かせるに越したことはないはずです。だから試合前に多少の煽り合いをすること自体はいいとは思いますけど、やり方や見せ方に関してはよく考えないといけませんね。

 

──確かにそうですね。

 

原田さん 炎上が続くとファンも含めてヒートアップして、熱心なファンほど選手と一緒になって相手をリプライで攻撃してしまうこともあります。あと、どうしてもテキストのやりとりである以上、文章を書くのが得意/苦手で周囲からの見え方が大きく変わってしまう。たとえ正論だとしても、論破やいじめのように見えるやりとりは外野としてもしんどく感じますし、選手本人もきっと辛いですよね。試合に向けた想いを選手自身が発信するのは素晴らしいんですけど、SNSの使い方に関してはファンも含めて考えていかないといけません。



──原田さんの「煽り合いをやるにしても見せ方、やり方を考える必要がある」という意見には同感です。ちなみに今の女子プロレスの試合内容についてどのようにご覧になってますか?


しょこたんさん 昔の女子プロレスの動画もファンになってから見るようになりましたが、技のうまさ、動きとかは今も昔もあまり大差がないように思います。今の女子プロレスは安全面に配慮して試合をしているような気がします。



──ありがとうございます。原田さんはいかがでしょうか。


原田さん 東京女子に関しては序盤にしっかりレスリングの攻防をやるんですよ。他の団体を見ると序盤から打撃戦が始まるので、そこはカルチャーが違うなと感じました。



──エルボーやチョップの打ち合いになる傾向がありますね。


原田さん そうですね。



(前編終了)