ドナルド・トランプとビンス・マクマホンのリングでの言い合いがプロレスとの出逢い
ーーミステリオさん、このような企画にご協力いただきありがとうございます!今回は「私とプロレス」というテーマで色々とお伺いしますので、よろしくお願いいたします。
ミステリオさん よろしくお願いします!
ーーまず、ミステリオさんがプロレスを好きになったきっかけを教えてください。
ミステリオさん 僕が小学校6年生の時の話なんですけど、元々、洋画を字幕で見るのが好きで、その流れで家にケーブルテレビがあったんです。ちょうどJスポーツっていうチャンネルがあって、そこでなんでか知らないんですけど、海外のダーツの世界大会を毎週日曜日に見てたんですよ。その中継を楽しみにしていたんですけど、ある日いつものようにJスポーツを見ると、プロレスのリングでおじさん二人がマイクで言い合いしてるんですよ(笑)。それがビンス・マクマホンとドナルド・トランプでした。
ーーありましたね!
ミステリオさん 2007年の『レッスルマニア』でボビー・ラシュリー(トランプの代理レスラー)とウマガ(ビンスの代理レスラー)が戦ったんですけど、10分くらいで終わったんですよね。それが来週見てみようと思ったのがプロレスとの出逢いです。
ーーJスポーツがきっかけでWWEを見るようになったんですね!
ミステリオさん そうなんです。当時、全然プロレスに興味がなかったんですけど、レスラーも試合も面白くて、お客さんも盛り上がっていて、引き込まれるようにハマりました。もっと彼らのストーリーが知りたくなって。「エッジって誰?なんでこんなに嫌われているんだろう」とか。
ーーエッジは当時、R指定のスーパースターで大ヒールでした。
ミステリオさん あとジョン・シナが結構、WWEでプッシュされまくっていて、シナの一強時代でした。
ーーJスポーツはダーツもそうですし、野球やサッカーとかさまざまな世界のスポーツが放送されていて、ミステリオさんのようにJスポーツを経由してWWEに出逢ってプロレスファンになられた方が多いんですよ。
ミステリオさん そうなんですね!Jスポーツは優秀なチャンネルですから!
「賛否両論の男」ジョン・シナの凄さと魅力とは?
ーーちなみに初めて好きになったプロレスラーは誰だったんですか?
ミステリオさん これはやっぱりジョン・シナです。
ーーシナですか!どこら辺が好きになったんですか?
ミステリオさん 僕が見始めた頃のJスポーツのWWE番組にはPPVが見てなくて、「この続きは来週の『バックラッシュ』で!」とか言ってみても見れない。小学6年生だった2008年の『ロイヤルランブル』でスカパーのPPV、4000円くらい払って夜中の12時くらいから見ました。その『ロイヤルランブル』の30選手参加のランブル戦で30番目に登場したのがシナだったんです。
ーー確かシナは前年に右胸筋断裂という大怪我を負って欠場中で、サプライズ復活で、しかもランブル戦を優勝したんですよ!
ミステリオさん そうなんですよ!今まで生きてきた中で、あのシナの復活劇ほど興奮したことはないです。大人になれば本当か嘘かはわかりませんけど、色々とネットから情報がチラホラ聞こえてきたりするじゃないですか。でも当時、ほんまに右も左もわからなくて、ただ面白いと思って、見てただけなんで、あのときのシナの復活は全て持ってかれましたね。あれで一気にシナのファンになりました。
ーーちなみにミステリオさんが考えるシナの凄さや魅力はどこにあるとお考えですか。
ミステリオさん やっぱりエンターテイメントに全振りしていて、いつでも正義のヒーローであり続けているところですね。よくチャットで女性と子供が「レッツゴー、シナ!」、男性が「シナ、サックス!」と言っているじゃないですか。プロレスファンからするとそんなに好きじゃない人も多いかもしれませんが、僕はシナに惹かれるものがあって、兄貴みたいな感じで凄くついていきたいと思えるカリスマなんです。野球少年が大谷翔平に憧れるように僕はシナのような人間に憧れたんです。
ーーシナは評価が二分する選手なんですけど、”白覆面の魔王”ザ・デストロイヤーは「あの独自のスタイルはグッド。レスリングもできる」とシナを讃えていて、レジェンドレスラーからも評価されているんです。
ミステリオさん ええ!そうなんですね。でもそれは嬉しいです!
ーーあとシナはリング外もほとんど問題も起こさない優等生なので、団体内の評価も高かったですよね。だから長年WWEのエースとして活躍したのかなと思います。
ミステリオさん 本当にプロですよね!
ーーありがとうございます。ちなみにミステリオさんはプロレスを観戦されたことはありますか?
ミステリオさん それが申し訳ないのですけど、ないんですよ。しかもWWEで毎週のように見ていたのが19歳までで、そこからラップを始めてからラップ以外のことをシャットダウンしたんですよ。
ーーそうだったんですね。プロレス観戦したことはないけど、映像やネットニュースを中心にプロレスを追っている方もいますし、色々なファンのあり方があっていいと思いますよ。
ミステリオさん ありがとうございます。いつか生観戦したいなと思っているんですよ。
ーーコロナ禍が明けてくるとWWE日本公演だったまたあるかもしれませんから。
ミステリオさん 一時期、WWEが大阪公演をやっていたんですけど、ライブとかイベントとかあってなかなかスケジュールが合わないんですよね。でもWWEを生観戦することを今後の目標にしたいです。
「ミスター619」レイ・ミステリオの凄さと魅力とは?
ーーわかりました。ではミステリオさんが好きなレスラーとして上げているレイ・ミステリオ。自らのラッパーネームの由来となった選手ですね。ミステリオの凄さと魅力についてお聞かせください。
ミステリオさん 唯一無二なところじゃないですか。後にシン・カラとか出てきましたが、WWEのマスクマンといえば、やっぱりレイ・ミステリオですよ。その地位を確立させたのが彼の凄さだと思います。2006年の『ロイヤルランブル』で60分以上闘い続けて、最後まで生き残って優勝したじゃないですか。身長とか体重とか関係なく、グレート・カリのような大巨人が対戦相手でも立ち向かっていくところが魅力ですね。あと今年、ミステリオの試合も見たんですけど、年齢も重ねているんですけどまだ動けるんですよ。
ーービンス・マクマホンは本来はマスクマン嫌いという話があったんですけど、それを覆したのがレイ・ミステリオだったんですよ。だから彼は世界ヘビー級王者にもなって、本当に凄いと思いますよ。
ミステリオさん 最近は息子のドミニク・ミステリオと親子で抗争していて、なかなかエモいんですよ。
「アメリカン・ナイトメア」コーディ・ローデスの凄さと魅力とは?
ーーあともうひとり好きなレスラーとして上げてくださったのがコーディ・ローデスの凄さと魅力について教えてください。
ミステリオさん コーディが最初にWWEのリングに上がった頃はランディ・オートン、テッド・デビアスと共に「レガシー」というユニットのメンバーだったんですよ。そこから色々とやっていて、ナルシストキャラになったり、インターコンチネンタル王者になったり、スターダスト(コーディの異母兄ダスティン・ローデスの化身「ゴールダスト」を模倣したキャラクター)になったりとか。なんか色物というか、トップ戦線ではやれてなかったじゃないですか。
ーー確かにそうですね。
ミステリオさん 2022年の『レッスルマニア』でセス・ロリンズとのWWE復帰戦があったんです。その試合を見て感じたのは、コーディはプロレスはうまいと思うんですけど、あの色物をやっていた頃に比べて、すごい成長したように感じたんですよ。あんなに雑な扱いされてたけど、そこから約10年ぐらいたってトップレスラーになるって凄いと重いんですよ。自分もラップとかやってると、調子の波が激しくて、うまくいかなかった時期があったんですけど、2023年の『レッスルマニア』でのローマン・レインズとの試合とか見ると、みんなコーディを応援していて、その過程はすごい苦しかったんだろうなと思うとめちゃくちゃ感情移入してしまって。そこにコーディの魅力を感じました。
ーーコーディは2015年にWWEを退団してから新日本やROHに参戦したり、2019年にはAEW旗揚げに参加しているんですよ(コーディは団体の副社長に就任)。この新日本とROH、AEWでの経験が大きくて、レスラーとして幅を広げ、ステータスも上昇したんですよ。そこから『レッスルマニア』でのセス・ロリンズ戦やローマン・レインズ戦に繋がっていったと思うんです。
ミステリオさん プロレスっていうよりかはなんかエンターテイメント性にハマってるかもしれないですね。だからこの試合が面白かったっていうより、この人の背景がドラマチックでというストーリーが好きなんですよ。だから僕はコーディの地道に歩んでいったサクセスストーリーに心を震わされたのかもしれないです。
ーープロレスはどんなキャラクターをやったとしても最終的には人間性が出るジャンルと言われています。コーディのこれまでの歩みは壮大なドキュメンタリーなんですよね。
ミステリオさん 夢はやり続ければ、まだ有名の途中やと思うんですよ。今はコーディが次の世界王者になるというストーリーを目の当たりにしているのかなと。
WWEに出逢ってから、人前に出てお客さんを盛り上げたいという気持ちが強くなった
ーーコーディはキャリアを積み重ねていくに連れて、「アメリカン・ドリーム」と呼ばれた父ダスティ・ローデスのような「みんなの王者」になりつつあるのかもしれませんね。ではミステリオさんがプロレスを好きになるきっかけとなったWWEの凄さと魅力について方っていただいてもよろしいですか。
ミステリオさん 団体や興行の規模じゃないですか。僕はあまり痛いの好きじゃなくて、プロレスやりたいとは思わなかったんですけど、WWEに出逢ってから、人前に出てお客さんを盛り上げたいという気持ちになったんですよ。それが後にラッパーとして、2000人3000人、6000人の前に立ってラップをやることに生きているのかなと。僕が小学生や中学生の時にテレビ越しで見たWWEの歓声や景色と規模が自分の原点なんですよ。WWEの尋常じゃないエンターテインメント性にすごく惚れたんですよ。
ーーさすがにWWEレベルの興行は日本の団体にはとてもじゃないけど真似できないので、本当に唯一無二ですよ。
ミステリオさん そうですよね。僕はテレビっ子で、家でお留守番していることが多い子供だったんです。だからWWEとの出逢いは大きくて、ラッパーの活動に大きく活きていますよ。
(第1回終了)