ジャスト日本です。
プロレスの見方は多種多様、千差万別だと私は考えています。
かつて落語家・立川談志さんは「落語とは人間の業の肯定である」という名言を残しています。
プロレスもまた色々とあって人間の業を肯定してしまうジャンルなのかなとよく思うのです。
プロレスとは何か?
その答えは人間の指紋の数ほど違うものだと私は考えています。
そんなプロレスを愛する皆さんにスポットを当て、プロレスへの想いをお伺いして、記事としてまとめてみたいと思うようになりました。
有名無名問わず、さまざまな分野から私、ジャスト日本が「この人の話を聞きたい」と強く思う個人的に気になるプロレスファンの方に、プロレスをテーマに色々とお聞きするインタビュー企画。
それが「私とプロレス」です。
今回のゲストはライターの鈴木健.txtさんです。
(画像は本人提供です)
鈴木健.txt
すずきけん/1966年9月3日、福島県会津若松市生まれ、葛飾区西亀有出身。1988年より21年間『週刊プロレス』の編集記者から編集次長、2001年より週刊プロレスモバイル編集長を務め、2009年よりフリーとなりプロレス、音楽、演劇等の表現ジャンルについて執筆。プロレス中継では50団体以上の実況と解説を経験。ワニブックスウェブ「News Crunch」にてみちのくプロレスを題材とした小説『アンドレ・ザ・小学生』(https://wanibooks-newscrunch.com/category/series-054) を執筆。著書に『プロレス きょうは何の日?』(河出書房新社)『白と黒とハッピー~純烈物語』(扶桑社)『純烈物語20-21』(同)『髙山善廣評伝 ノーフィアー』(ワニブックス)『虎ハンターの美学』(小林邦昭との共著/玄光社)がある。
週刊プロレスmobile編集長に就任、週プロ編集次長として数々の現場を体験してきた「週プロ野郎」である鈴木健.txtさん。2009年にベースボール・マガジン社を退社後はプロレスを中心にライターとして活躍、またイベントや番組のMCやプロレス実況・解説とマルチに活動されています。
プロレスライターとして数々の名場面を文章に刻んできた。その情熱の源は、少年時代に感じたプロレスの衝撃と興奮にある。スタン・ハンセンや小林邦昭さんとの出会い、そして初めての会場観戦が、彼の人生をどう変えたのでしょうか。「元・週プロ野郎」の原体験に迫ります。
是非ご覧ください。
私とプロレス 鈴木健.txtさんの場合
第1回「元・週プロ野郎の原体験」
プロレスを好きになったきっかけはスタン・ハンセン
──鈴木健.txtさん(以下・健さん)、このような企画にご協力いただきありがとうございます! 今回は「私とプロレス」というテーマで色々とお伺いしますので、よろしくお願いいたします。
健さん こちらこそよろしくお願いします!
──まず健さんがプロレスを好きになったきっかけを教えてください。
健さん 中学の終わりから高校に入ったあたりだと記憶してるんですけども、プロレスが好きな友達がいて、彼の影響を受けてテレビで見るようになりました。当初はプロレス中継をテレビ番組のひとつとして見てましたけど、プロレスが好きになるきっかけとなったのはスタン・ハンセンですね。
──ハンセンだったんですね!
健さん 1981年9月23日に新日本プロレス・田園コロシアム大会で行われたスタン・ハンセンVSアンドレ・ザ・ジャイアントがあるじゃないですか。あの試合は別の番組を見ていたのでテレビで見れなくて、チャンネルを変えたところでラッシャー木村さんの「こんばんは」事件を見て「他団体の選手が新日本に殴り込んできたのか」と興味を抱いたんです。そこからプロレス中継を意識して視聴するようになると、段々スタン・ハンセンの「ウィーッ!」とウェスタン・ラリアットに「カッコいいな」と憧れるようになるんです。
──確かにハンセンはワイルドでカッコいいですよね。
健さん そうですよね。ハンセンが新日本から全日本プロレスに移籍してからさらにプロレスを追うようになりました。そのあと1982年10月8日の新日本・後楽園ホール大会で勃発した長州力「嚙ませ犬」事件があってから、長州力さんが好きになったんです。
──そうだったんですか!
健さん その長州さんと同時期に初代タイガーマスクのライバルとして出てきたのが小林邦昭さんでした。長州さんは長州革命とかムーブメントを含めて面白いなという感じで見てたんですけど、小林さんに関しては「この人に勝ってほしい」と思えるほどのめり込んでました。
──ということは初めて好きになったプロレスラーというのは長州さんと小林さんになりますか。
健さん そうですね。特に小林さんに関してはかなり思い入れが深いんですよ。今年、小林さんの本を出しました。2024年に他界されましたけど、亡くなる2か月前までご本人に取材しましたが夢のようで。プロレスという沼から抜け出せなくなったのは小林さんの存在が大きかったので、大好きなプロレスラーの本に携われたのは、この業界でずっとやってきて報われたと思いました。
──以前、健さんが週刊プロレスmobileで連載していた「週モバ野郎」で小林さんに対する熱き思いを書かれた記事を読ませていただいたことがあります。
健さん ありがとうございます。
初めてのプロレス観戦
──次の瞬間ですが、初めてのプロレス観戦はいつ頃でしょうか?
健さん 1982年5月15日、東京葛飾区のお花茶屋城山閣前広場という野外で全日本プロレスが興行しまして、会場が城山閣という焼肉屋の駐車場なんですよ。当時は高校生でお金がなくてチケットが買えないんですけど、家から近いので会場まで行きました。ブルーシートで囲んである隣にバスが停まっていて、それが選手の控室代わりなんですよ。試合は見れなかったんですけど、選手の出入りは見てました。
──随分レアな体験ですね!
健さん これがプロレス初観戦となると微妙なところなんですけど(笑)。このシリーズはハンセンが来日してました。ハンセンの控室が城山閣の1階個室で、裏庭にまわるとガラス張りになっていて中が見えちゃうんですよ。だからハンセンが個室でくつろいでいるところやシューズを履いているところを見てしまったんですよ。しかも焼肉屋さんの営業中に、店の出入り口からブルロープとテンガロンハットを身について入場してました(笑)。
──ハハハ(笑)。
健さん 不沈艦の入場は見れたけど、会場内はブルーシートが張っているから試合は見れないんですよ。ちゃんとした初観戦は1982年8月28日の全日本・後楽園ホール大会でした。
「こんなレスラーいたよな」という人ほど時間が経つと妙に覚えている
──実際に生でプロレス観戦してどのような印象を持ちましたか?
健さん プロレスラーの身体の大きさにびっくりしました。もちろんお目当てはスタン・ハンセンで、あとロン・バスが来てましたね。
──ハンセンとロン・バスは「ラリアット・ライダーズ」というコンビで、1983年4月12日松山大会でジャイアント馬場&ジャンボ鶴田を破り、インターナショナル・タッグ王座を獲得してますね。ブルーザー・ブロディが不在のシリーズでハンセンはロン・バスと組んでいることが多かったです。
健さん 確かハンセンとロン・バスが組んでインタータッグに挑戦する前哨戦が後楽園で組まれていたんですよ。あとフランク・デュセックという選手が中盤戦に登場していて、勝ったのか負けたのかも覚えていないんですけど、そういう「こんなレスラーいたよな」という人ほど時間が経つと妙に覚えているじゃないですか。
──確かにそうですね。
健さん B級外国人の妙ですよ(笑)。ブロディのパートナーとしていつも隣にいるバック・ロブレイとか。しかも当時では珍しくTシャツを着て試合をしていたので余計に記憶に残ってますね。
あの時代のプロレスは“テレビの王様”だった
──正式な初観戦となった後楽園大会から、健さんのプロレス趣向がある程度決まっていったところがあるのでしょうか。
健さん どうでしょうか。今思えば紐づいて考えることができるかもしれませんけど、プロレス記者になりたいという意識は全然なかったですから。初観戦時はテレビでやっている催し物を生で見れてよかったと思いました。
──確かに1980年代はテレビ黄金時代ですね。
健さん この時期に『8時だヨ!全員集合』という人気番組があったじゃないですか。毎週土曜日生放送で、各地の劇場・ホールで公開収録していたんですけど、東京でやるときは日本青年館であって、抽選で当たって見に行ったことがあったんです。当時はプロレス観戦も『8時だヨ!全員集合』収録と同じ感覚で見ていたところはありますね。
──あの頃はプロレス自体がテレビの人気番組に負けないくらいのコンテンツだったというのはあるのでしょうか。
健さん それは一理ありますね。
(第1回終了)
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