熟女でも

好きな男の子にはチョコレートを渡したい。

 

社畜のごとく働く毎日ではあるが

こっそりチョコを持ってきていた。

そう、さして好きじゃないけど、

男の子にあげるならと決めているあのお高いチョコレート。

 

でも当然ながら、人目に付くところであげる勇気はない。

一緒に帰ろうと思っても、彼の残業時間まで合わせる体力は無い。

熟女から貰っても嬉しくないかな…なんて自己嫌悪の気持ちも頭をもたげ、

あれよあれよといううちにその日を過ぎてしまった。

 

休日も在宅で仕事。

沢山の書類とPCを持ち帰る。

その大荷物の中に、渡しそびれたチョコレートを忍ばせ帰る。

 

…と、トイレへ向かうB君とばったり廊下で会った。

仕事の愚痴を言いかけ、あ!そういえば…今渡してしまえと思いつく。

 

B君にあげようと思って持ってきてたんだ。貰って?

そういって大荷物を床にぶちまけ包みを取り出す。

例によって、髪はボサボサ、メガネは付けたまま…色気ゼロのいでたちだ。

 

彼は笑いながら転がったお弁当箱の包みを拾ってくれ、

ありがとうございます。これで頑張ろうと思います(笑)

 

…ね、いい子でしょ?素敵でしょ??

熟女の深情けなんて貰っても重いだけだろう。

こんな笑いでくるむ位が丁度良いのかも知れない。

 

熟女より

素敵な彼へ

想えど届かぬ

想いを込めて