帰りの出口でA君と一緒になった。
他愛もない話を始めて
一緒に廊下を歩く。
私は手に分別ゴミを持っていて
捨てにいかないといけないから、T字路のところで、じゃあ…と言ったら
…僕、待ってますよ。
…え?
あ、じゃあ捨ててきます。
予想しなかった答えに
慌ててゴミ捨て場に走る。
慌て過ぎてコーヒーの紙コップをペットボトルの所に捨ててしまった。
エレベーターで話の続き
慌てて走ったせいか汗が噴き出す。
深夜の残業
別々の駅なので、笑顔で手を振りサヨナラする。
…僕、待ってますよ。
帰りの電車で反芻する。
何度も何度も、心の中で。
…ええ、解ってます。
若い彼にはただの退屈しのぎ。
でも、隠していても、私の顔から身体から
あなたの事、好きって、ダダ漏れなのだろうなあ。
彼は気にしてすらいないかも知れないけれど。