8月4日、中央最低賃金審議会は2025年度の地域別最低賃金の「改定額の目安」を63,64円とし、全国の最低賃金の平均を1,118円とする答申を行いました。最低賃金は、最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定めるもので、地域別最低賃金と特定最低賃金の2種類があり、使用者は高い方の最低賃金額以上の賃金を支払う義務があります。地域別最低賃金は、都道府県によって差異があり、2024年の改定では東京都が1,163円、島根県は962円などとされました。今回の改定で全国すべての都道府県で1,000円以上になる可能性がありますが、東京都が1,226円で大阪府1,177円、島根県1,025円、秋田県1,015円など、都道府県での賃金格差の増大や扶養内パートの年収の壁問題などの課題があります。昨秋の衆議院選挙や今夏の参議院選挙において、実質賃金がマイナスとなる中で税や社会保険料が増大し、可処分所得が減少している若年世代の不満が、与党や既成政党の退潮として如実に顕れたところですが、生産性の改善に資する行政の投資支援が不十分なまま、短兵急に法律をもって強制的に賃金のみを改定することは、エネルギーコストや輸入物価の上昇で経営体力を消耗させている中小企業の事業環境のさらなる悪化を懸念するところです。給与・賃金の上昇は、生活にゆとりを与え、消費需要を喚起する観点から歓迎すべきことですが、支払う側の経営収支の改善が不可欠であり、政府は、早急に投資と財務の両面から中小企業に対する大胆な支援施策を講ずる必要があると考えます。