衆議院で自民、公明の与党が過半数を割り、野党の協力がなければ法律や予算の成立が困難となり、国会提出前の与党による法案の事前審査が事実上無意味となるなど、国政は従前と様変わりしたように見えますが、参議院での予算審議で石破首相が野党が主張した高額療養費制度の見直し撤回に言及した刹那、「混乱」「優柔不断」などと糾弾まがいの批判に、『熟議の国会とは程遠い』と感じさせました。加えて、採決前の高校授業料無償化や基礎控除引き上げなど、非公開の政党間協議は、若年世代の課題や子育て支援の本質を離れた妥協の結果としか見えません。そうした中で、石破首相が公邸で自民党衆院議員1期生15人と会食し、土産名目で10万円分の商品券を配布したと報道されました。『政治とカネ』をめぐる問題で政治不信が高まっている折の国民感情を逆なでするかのような稚拙な所作にはあきれるばかりですが、100兆円を超える国家予算の内容が脇におかれ、予算委員会の主たる論議が『商品券』になっていることは国民にとって極めて不幸な事象です。2年前、社会福法人が運営する保育園で、草刈りや花壇の手入れ、見守りボランティアなどに来て下さる皆さんに年度末に薄謝として2,000円から3,000円分の商品券やクオカードをお渡ししていた事例について、松江税務署から「源泉徴収の必要あり」として追徴課税処分を受けたことを思い出しますが、国会でウクライナやパレスチナ紛争をはじめとする国際紛争やトランプ関税などの貿易摩擦、少子化、円安や物価高騰、コメ不足など、内外の大きな問題よりも政治家の資質や行動の是非を問う質疑が延々と繰り返される様こそが、政治への信頼を失墜させる元凶となっていることを認識していただきたいものです。