自民党の重鎮で幹事長などをつとめた二階俊博衆議院議員が3月25日に党本部で記者会見を行ない、次期衆院選に出馬せず、政界引退の意向を表明しました。昨年の11月に告発状が提出されて以降、検察の捜査、立件を含めてこの4か月間、連日の「裏金」報道がされながら、決着が図られない様は歯痒く、情けない限りです。二階議員が派閥(志帥会)の政治資金規正法違反の事案について、「国民の政治不信を招く要因で、深くおわびする」と述べ、志帥会(二階派)の会計責任者が立件されたことの政治責任について、「全て監督責任者である私自身の責任」としたことは大きな意味があると感じます。政治資金規正法に定める収支報告は政治団体の代表(政治家)ではなく、事務責任者(会計担当者)に義務付けられており、代表(政治家)は「知らなかった」とすれば法律的な責任を逃れることは、今回の事案で立件が数件であったことに明らかです。しかし、立法の任に当たる政治家が間接的とは言え、法律違反を犯した関係者となれば、政治的・道義的な責任を回避することは難しく、安倍派ではすでに松野官房長官や西村経済産業大臣、萩生田政調会長、世耕参議院幹事長、高木国会対策委員長など多くの議員が政府や党の役職を辞任しました。報道では、今後、自民党の党紀委員会で処分が検討されるとのことですが、今回の事案が深刻なことは、関係者に岸田派の長である岸田首相が含まれており、政治家が法の遵守を怠ったという事実に多寡の大小はなく、総裁を除外した処分が国民の理解を得られるか否かは疑問で、二階議員の引退会見は内閣総辞職を迫る老練政治家の所作とも受け取れます。