台風の中心(台風の目)に向かって巻き込むように(螺旋状に)分布するスパイラルバンドとよばれる降雨帯のうち、中心から約200キロメートル以内の内側降雨帯をインナーバンド、その外側、200キロメートル~600キロメートル付近の外側降雨帯をアウターバンドと呼びます。いずれも激しい雨が連続的に降るのが特徴で、近年は温暖化もあって太平洋上の海水温が高く、台風の勢力が衰弱しないまま日本列島に近づくため、かつてとは比べものにならない程の暴風や豪雨が記録されるようになっています。台風7号で中心から離れた地域で大きな災害が発生したのは、まさにこのインナー、アウターのスパイラルバンドの影響で、降雨帯が地形や気流などの活発化して鳥取県や岡山県では線状に連なって線状降水帯を形成し、降り始めからわずか24時間の雨量が500mmを超える記録的な豪雨となったものと考えられ、静岡県の豪雨も同様です。被災された皆様に心からお見舞いを申し上げますとともに、1日も早い復旧をお祈り申し上げます。台風が予想進路の西寄りに進んだため、鳥取県では収穫が本格化する20世紀梨、岡山県ではマスカットやピオーネなどの実りが懸念されるところであり、観光地ではお盆の書き入れ時の台風襲来でコロナ禍からの立ち上がりに「待った」がかかったかたちですから、台風シーズンとなる秋に向かっての「大難は小難に、小難は無難に」と神仏に祈るばかりです。