3月28日の参議院本会議で2023年度予算案が与党の賛成多数で可決、成立しました。令和5年度予算は、一般会計歳出総額は114兆3812億円の過去最大規模ですが、69兆4400億円を見込む税収増もあり、コロナ禍で大きく膨らんだ国債の新規発行は31.1%に低下しました。ただ、日銀の基準金利は欧米に比べて格段に低い水準にありますが、長期金利の上昇は必至で、1%の金利上昇で14兆円の利払いが必要となることを考えれば、国債依存の財政の脱却に本腰を入れるべきであり、課題とされる防衛費や社会保障費の増加の財源捻出を考える上からも抜本的な検討を要すると思います。また、コロナ禍やウクライナ情勢に対応する予備費として2023年度も5兆円が計上されています。岸田文雄首相は会見で「速やかに予算執行に取り組む」としながらも、当初予算の成立後に、令和4年度の補正予算の予備費を活用して、畜産農家の飼料価格やLPガス、電気料金などの高騰に対する地方自治体の取り組みを支援するため1兆2000億円の地方創生臨時交付金の執行を閣議決定しました。臨時交付金の追加配分は、国の財源手当てを見込んで対応している自治体にとっては歓迎すべきことではありますが、何か釈然としません。当初予算を国会に提出してしまうと、緊急対策に充てるための補正予算を編成した刹那、「補正予算が先議」として当初予算の審議をストップさせる慣例、いわゆる、予算案の並行審議ができない国会審議のあり方は、激動する国内外の状況に機動的に対応できるよう見直しされるべきだと思います。