岸田文雄首相は3月17日の記者会見で、「男女で育休を取得した場合の給付率を引き上げる」とし、休業給付を時短勤務にも適用する方針を示し、非正規雇用やフリーランス、自営など給付の対象とならない人の育児に伴う収入減に対する支援制度の創設にも言及しました。首相が述べた「男女で育休」とは、子どもが生まれた後、男性が8週間以内に最大4週間まで育休とは別に休業できる「産後パパ育休」と女性の育児休業制度を指し、現行、賃金の67%の育休手当の給付率を休業前の“手取り10割”とするものですが、育児休業の対象は雇用保険加入を条件としているため、対象外となる人への支援が、育休期間中に免除となっている年金や医療保険の支払免除などと同様の内容となるのかに注目したいと思います。ところで、育児休業での育休手当の支給は、原則、子どもが満1歳になるまでの期間とされていますが、国の調査では、保育所や小学校に通う子供を持つ家庭において、親が子供と過ごす時間が年々短くなってきていることが明らかになっています。できれば、「子どもが12歳に達するまでの間、育休手当を付加した1日あたり2時間程度の育児休業の導入」を実施し、不足する職場の働き手に65歳以上の高齢者を充て、賃金にかかる所得税を非課税にした上で、育休を付与する事業者に国が一定の給与・賃金の支援を講ずるくらいの制度設計が『異次元の育児支援』ではないかと考えます。