10月を「神無月」とするのは八百万の神々が出雲大社での「神議」にお出かけになり、国許が留守になるためで、出雲地方だけが「神在月」となりますが、旧暦の10月10日にあたる11月3日の夕刻、大社町の稲佐の浜で神々をお迎えする「神迎神事」が古式ゆかしく執り行われました。例年は御幣をいただいた5,000人を超える人々が神事を見守り、稲佐の浜から出雲大社神楽殿までを「龍蛇神」に続いて御神幸に供奉(徒歩従進)しますが、令和2年からは新型コロナウイルス感染防止の観点から神職のみで斎行されています。今年は、全国的に人々の移動が活発化してきたこともあり、11月4日からの神在祭が一般招待者の参列の下で斎行されました。出雲大社によると、11月10日の「神等去出祭」までの間は特段の参拝制限を行わないとのことで、境内はおかげを求める全国各地からの参拝者で溢れており、周辺の駐車場に続く渋滞は「平年」を想起させています。古くは神在神事の期間は10月11日から17日までを「上忌の散祭」、18日から25日までを「下忌の致祭」とする15日間としていたとされ、出雲市斐川町の万九千神社の「神等去出神事」や松江市鹿島町の佐太神社の「神在神事」はその名残と言われていますが、ほかにも出雲市の朝山神社や日御碕神社、松江市の熊野大社においても神在祭が斎行されています。