最低賃金は、最低賃金法に基づいて雇用主が労働者に支払う1時間当たり賃金の最低額として国が定めたもので、都道府県ごとの「地域別最低賃金」と特定の産業に従事する労働者を対象とした「特定(産業別)最低賃金」の2種類があります。このうち、「地域別最低賃金」は、地域によって物価や労働者の賃金などが異なるとして都道府県をABCDの4ランクに分類しており、現在、Aランクは6都府県、Bランク11府県、Cランク14道県、Dランク16県で、島根県はDランクとされています。令和3年度の最低賃金の全国加重平均額は930円(島根県824円)ですが、8月2日の第64回中央最低賃金審議会で厚生労働省から示された地域別最低賃金額改定の目安は30円~31円であり、8月9日に開催された島根地方最低賃金審議会(富田眞智子会長)では、島根労働局長に対し「4%にあたる33円の引上げで1時間あたり857円とする」旨の答申を賛成多数で決定したとのことです。2002年の島根県と東京都の最低賃金は609円と709円で全国の加重平均は664円、対東京では85.8%、対全国91.7%の水準でしたが、2022年では、東京が1,072円で79.9%、全国は961円で89.1%と、2005年ごろから格差は拡大してきています。最低賃金を法律で決定するのであれば、賃金の上昇分を価格転嫁できる制度を法律で規定すべきであり、「地方創生」と言うならブロック制を廃止して賃金格差を是正する手立てを国がきちんと講ずるべきです。とりわけ、生産品の価格決定権を持たない地域の農林水産業はコストの上昇に抗うことができずに離業を余儀なくされている現実があり、格差の放置が地方の衰退を加速させています。