7月6日、厚生労働省は6月22日の薬事・食品衛生審議会医薬品第2部会で見送りとした塩野義製薬が開発した新型コロナウイルス感染症経口薬「ゾコーバ」について、「緊急時薬事承認」の可否を判断する専門家会議を7月20日に開催すると発表しました。国は新型コロナウイルス感染症治療薬の迅速な臨床使用のために医薬品医療機器法を改正して「緊急時承認制度」を創設し、令和3年度末に塩野義製薬の「スコーバ」と興和の「イベルメクチン」を対象にした予算の支出を決定するなど、コロナの国産外来経口薬について迅速な使用を可能とする制度を5月20日から施行しましたが、専門家会合は「ウイルス量の減少などの有効性は確認できても、臨床症状の改善を示すデータが希少」と指摘するなど、審査の慎重姿勢は不変で『速やかな承認』に「待った」をかける難しい状況です。現状は、特例承認されたファイザー、モデルナのワクチン、臨床では「ゼビュディ」と「レムデシビル」、「モルヌピラビル」が投与され続けており、莫大な国富の流出がなお続いていますが、ここにきて、オミクロン株の新たな派生型「BA・5」による感染が急拡大し、塩野義製薬が中国での承認申請を目指すとしたことなどが端緒となって、『暫定的に緊急時承認の可能性が生じてきた』とする観測もあり、薬事審の議論に注目したいと思います。