島根県出雲市出身で将棋の里見香奈女流4冠(女流王座・女流王位・女流王将・倉敷藤花)が、5月27日に大阪市の関西将棋会館で行われた棋王戦予選決勝で古森悠太五段を99手で破り、女流棋士として史上初となる渡辺明棋王・名人への挑戦権を争う本戦トーナメント進出を決めたことが大きく報道されています。将棋界の「棋士」と「女流棋士」は似て非なるもので、女流の上位に位置付けられている「棋士」となるには、「奨励会」と呼ばれる育成リーグにおいて上位2名となって勝ち抜けるか、8大タイトル戦のうち竜王、王位、王座、棋王、棋聖の各棋戦に参加が認められているアマチュア将棋界と女流棋士の代表選手となって参戦し、「棋士」を相手にした直近の戦績で「10勝以上かつ勝率6割5分以上」を挙げた場合に取得できる受験資格獲得した上で、改めて「棋士」5人との試験対局で3勝した場合に限られており、編入試験の突破者は長い歴史になかでもわずか数人の超難関な世界で、女性はありません。報道では、里見さんが編入試験を受けるか否かは未定とのことですが、将棋界にあって、10年以上も女流の第1人者の座を保ち、且つ、極めて特異の男性社会である「棋士」への道をついに切り開いたことに敬意と感動を覚えます。応援する立場にあるものとしては、「編入試験を突破して「棋士」に昇格してもらいたい」と思う一方で、「敢えて苦難を背負わなくても良いのでは」とも思うところであり、しばらくは静かに里見さんの決断を見守りたいと思います。