5月13日、島根県議会中山間地域・離島振興特別委員会(園山繁委員長)は4月28日に引き続いて中山間地域の現地調査を行いました。この日は、人口密集地域の周辺地域である松江市美保関町と出雲市多伎町および出雲市乙立町を訪問しました。美保関町は日本海と中海に面した島根半島の東端に位置し、恵比須様を祀る美保神社のある歴史が古い地域ですが、基幹産業である漁業の低迷と高齢化によって平成17年に松江市と合併した当時6,606人の人口は令和3年末に4,605人となり、高齢化率は47.05%となっています。多伎町奥田儀地域は出雲市の西端の大田市境の地域で、国の史跡である田儀櫻井家のたたら遺構が残る63世帯154人の地域で、出雲市南部の乙立町は立久恵峡のある神戸川流域の地域ですが、昭和30年の380戸、1680人から令和3年度末の197戸、543人に減少し、高齢化率は49.0%となり、平成30年には小学校と幼稚園が隣接校と統合したとのことです。美保関町では地域の担い手となってきた漁業就業者が高齢化・減少し、町内にショッピングセンターがないため、松江や境港まで買い物に出かける必要があり、集落の担い手確保と生活交通の確保が課題とされました。奥田儀地域は一人暮らし高齢者の存在と鳥獣被害が深刻であるものの、合併前に地籍調査が完了していることもあって、国の事業を活用した大規模森林整備事業で山林の荒廃が抑止されていることが報告されました。乙立地区では5km~10kmのところに出雲市の佐田行政センターやJAのショッピングセンターが存置しており、日常生活の不便はさほど感じないとのことですが、幼稚園から中学校まではスクールバスの運行があるものの、路線バスの運行本数が少なく、高校生になるとほとんどが保護者の送迎が必要で、若年世代の大きな負担となっているとのことでした。