民法には親の子に対する監護及び教育の権利義務と懲戒権が規定されていますが、令和23年度の法改正で、子どもの虐待を防止する観点から、「懲戒権の行使は、子の利益のためになされる監護及び教育に必要な範囲内に限られる」ことが明示されました。国連の子どもの権利委員会は、「暴力的な言動によらない、子どもの発達に即した建設的で、肯定的なしつけ子育て・教育に関する啓発と支援を主導すべき」とする提言をまとめていますが、親が子を戒めることを認める民法の「懲戒権」について、法制審議会の専門部会は、2月1日、「懲戒権」の規定を削除し、新たに体罰を禁止する規定を追加する方針を決定し、古川禎久法務大臣に答申する見通しと報道されました。現行の民法の条文には「親権を行う者は、監護および教育に必要な範囲内でその子を懲戒することができる」とあり、決して体罰を容認する内容ではありませんが、「『しつけ』と称して児童虐待を正当化する口実に使われているとする」指摘が強くされたものと考えられます。同時に、懲戒権に関する規定の見直しに伴う検討事項として、学校教育法第11条に定める「校長及び教員は,教育上必要があると認めるときは,文部科学大臣の定めるところにより,児童,生徒及び学生に懲戒を加えることができる。ただし,体罰を加えることはできない。」とする校長及び教員の懲戒権の見直しが掲げられており、今後の議論の行方に注目したいと思います。