活発な梅雨前線による大雨で7月3日、静岡県熱海市で土石流が発生し、多くの家屋の倒壊による死傷者・行方不明者が報告されていますが、出雲市奥宇賀町の布勢川流域で土石流が発生したのは25年前の平成9年7月12日の早朝でした。7月7日の降り始めから500ミリを超え、11日午前8時からの24時間雨量が200ミリに達し、高さ200m・幅400mの大規模斜面崩落が発生し、午前6時10分から1時間たたずの間に、わずか総延長2.5kmの布勢川は約96,000㎥の土砂と流木で埋め尽くされ、20,000㎥は海水浴場に達しました。布勢川は島根半島弥山山系から十六島湾に注ぐイワナやサワガニ、アユなどが生息する清流ですが、平成8年7月に上流部で山腹崩壊が発生し、自治会長から下流域の住民に降雨時の注意喚起がされ、川沿いの住民は避難を終えていたことから、川の氾濫による床上浸水や土石流による家屋崩壊が生じたものの42戸180人の人的被害は皆無で、後年、流域2自治会の代表が知事表彰(うち1人は河川事業功労者)を受けました。災害から4半世紀が経過し、災害の記憶は澄田信義島根県知事揮ごうの「至誠通天」と書かれた災害復旧工事の完了記念碑に残るだけになりましたが、土石流を目の当たりにした世代の1人として語り継ぐ役割を感じます。