5月25日、益田市のサンパレス益田で島根県認可保育園理事長会(園山繁会長)の令和3年度総会・研修会が開催され、島根県内の認可保育所の理事長や施設長など40名が参加しました。新型コロナウイルス感染症による移動自粛などにより令和2年度は書面決議としたため、2年ぶりの総会開催となりました。議事では令和2年度の事業報告・決算と令和3年度の事業計画・予算および政府・与党に対する「保育職に対するワクチンの優先接種を求める緊急要望」を了承しました。総会後の研修会では、京都大学の明和政子教授が「コロナ禍における保育のありかた」とする講演を行いました。明和教授は『比較認知発達科学』の世界的権威で、保育指針に0歳児からの発達支援を盛り込む原動力となるなど、国の子ども政策の助言者の1人です。この日の講演では、はじめに「ヒトは『共同養育』の形質を獲得して進化した動物』で、『密・接触』を基本とする社会的環境の中で生存している」と述べ、「生殖に必要なオキトシンは乳幼児期の知覚体験によって形成され、『視覚・聴覚』は生後3か月から7,8才で、思考や視点変換は4才から25才までが発達段階」とし、「ヒトの生殖機能が備わってから10年間も脳が発達するのは、子を産み、育てる環境下で『親性脳』とする部位の進化が生存に深くかかわるからだと考えられる」と述べた上で、「ヒトのオス、メスの子育てに関わる適性は遺伝ではなく経験からくることが実証されており、妊娠・出産前の子育て・保育に関わる教育が大事」とし、「発達途上の脳を持つ子にとって、現実空間で十分な経験を経験することなく、仮想空間(リモートやベビーテックなど)で他者と交わる経験を増加させることは、ヒトの進化・発達の阻害要因(精神的疾病や障がいの発現)となる可能性がある」と述べ、「コロナ禍での『新しい生活様式』はヒトの進化・発達に沿うものでなく、乳幼児期の子に不可欠な『声かけ』『ほほ笑み』『抱っこ』などについて、工夫を凝らして進めてほしい」と結びました