11月1日、大阪市を4つの行政区に再編し、大阪府に統合する「大阪都構想」の是非を問う住民投票(当日の有権者数220万5730人、投票率62・35%)は2015年に続いて反対多数で否決されました。当初、「賛成が多い」とされていた住民投票が「大阪市の廃止は財政悪化や住民サービスの低下を招く」とする反対派の主張が多数を占める結果となったのは、「府・市の2重行政の解消によって、きめ細かい住民サービスの実現を目指す」とする地域政党・大阪維新の会の幹部をつとめる大阪府知事と大阪市長が、徹底した役割分担で進めた10年間の行政スタイルが定着し、市民に「このままで良い」とする意識を醸成させたことは皮肉な結果です。松井一郎大阪市長は敗因を「力不足」とし、任期満了をもって政界引退を示唆し、吉村大阪府知事は都構想の凍結を明言しましたが、「府・市の二重行政をなくし、住民福祉を向上させたい」とする住民自治の手法は、子育てやコロナ対策を見るまでもなく、府・市の協調で着実な成果をあげており、当面は、現行制度の中で成功事例を重ねていただきたいと思います。