鳥取県で部活動の練習試合などの引率に教職員が自家用車やレンタカーを使ったとして83人が処分されたと発表されました。学習指導要領で「部活動は学校教育の一環」と位置付けられていますが、教育課程には含まれていない(課外活動)ため、教育委員会が定める学校管理運営規則に部活動に関する規定がないところもあります。現状は学校教育法第37条第11項の「教諭は児童の教育をつかさどる」とする規定を根拠に学校長が教員に部活動顧問の職務分掌を命じているのが実態ですが、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(給特法)では、教員に時間外労働を命ずることができる超勤4項目に部活動は含まれていないため、部活動顧問の教員には、勤務時間を過ぎても時間外手当を支給されることはなく、無報酬で業務と責任だけが負わされています。子供たちが部活動を通じて体験できる様々な事象は日本の教育にとって不可欠な要素であり、教員にとっても部活動に関わることは指導力や人間形成を高める上で効果があるとされていますが、外部指導者を有償で部活動の指導に招聘する制度が採用されながら、「顧問教諭は善意の奉仕」とする状況は改善すべきです。学校単位で取り組む部活動は生徒数の減少で縮小や近隣学校との協調を余儀なくされてきており、交通インフラが脆弱な本県にとっては自家用車が唯一の移動手段である地域もあり、画一的な物差しで処分を行った隣県の愚を繰り返してはなりません。