8月20日は福岡市の大濠公園能楽堂で行われた第61期王位戦七番勝負第4局で藤井聡太棋聖が木村一基王位を下し、4連勝でタイトル奪取に成功し、史上最年少で2冠獲得と8段昇段を果たしましたが、小川洋福岡県知事が新型コロナウイルス対策に関わる記者会見で、感染から回復した人を「無罪放免」と表現し、記者からの指摘で会見中に発言を撤回し、「福岡県発」となる2つの話題が大きく報道されました。藤井8段の活躍は大アッパレですが、知事の発言は、新型コロナウイルス感染症の医療提供体制について説明する中で「医療機関から退院する、(あるいは)宿泊療養施設から退所する、自宅待機をする中で、一定の観察期間が終わって『無罪放免』となった方がいらっしゃる」としたもので、ここでの『無罪放免』は、日常的に使われる比喩で、罪を犯して収監後に釈放されるケースとは異なることは明らかですが、『不適切表現』の誹りを受け、謝罪に至りました。学校のPTAでは、従前、保護者という意味で「父兄」という言葉を使っていましたが、最近では『男女平等』や『離婚家庭の増加』などの配慮から「保護者」に統一されたように、慣用句として使われてきた言葉がいつの間にか不適切として糾弾されることは珍しいことではなくなりました。ただ、こうした傾向が行き過ぎると、日本語の持つ鷹揚さが失われる恐れがあり、ともすれば人間関係をギスギスさせる一因になりますから、要注意です。