中華民国(台湾)の歴代総統(大統領)は蒋介石、厳家淦、蒋経国、李登輝、陳水扁、馬英九、蔡英文の7人ですが、第3代の蔣経国総統を副総統として補佐し、死後、後継者となった李登輝先生は、任期中に憲法改正を行い、総統と国会議員の直接選挙を実施し、「台湾民主化の父」と称されますが、令和2年7月30日に97歳で生涯を閉じたと報道されました。「指導者は、理想や考えを言うだけでなく、実践してこそ意味を成す」とする政治哲学を語り、日本人として京都大学で学んだ自らの体験から、日本が台湾に持ち込んだ博物学、数学、歴史、地理、社会、物理、体育、音楽などの公教育によって、台湾は四書五経、儒教や科挙といった伝統の束縛から解放され、伝統と進歩が止揚して新しい文化が育まれたとして、歴史を受け入れる姿勢を明確にされてきました。小生は自民党青年局の役員として何度か訪台し、都度、先生の講演にも参加していますが、「相反するものが反発し、ぶつかり合うことは、個人の人生のみならず、歴史の必然である」とする先生の言葉が耳に残ります。多くの台湾の人たちが親日的だからと言って過去の植民地支配を肯定評価する必要はなしとしても、李先生の評伝に皇民化政策や抗日運動を付加し、日本の統治時代の施政を根こそぎ否定する一部のマスコミや歴史学者のコメントには違和感があり、生涯にわたって日本と台湾の架け橋の役割を担われた李登輝先生のご冥福をお祈り申し上げます。合掌。