赤羽国土交通大臣は「Go Toキャンペーン」の開始時期を前倒しして7月22日からとし、参加者には3密回避や衛生対策など「旅行時のニューノーマル」を、割引対象とするホテルなどの施設は人数制限や利用者の検温などの感染防止対策を義務付ける方針を示しました。「Go Toキャンペーン」は、国が、新型コロナウイルス感染による行動自粛で落ち込んだ需要回復を図る目的で、旅行や飲食にかかる費用を割引やクーポン券の発行によって支援する総額1.7兆円におよぶ消費喚起対策で、観光や運輸関連事業者からは早期実施を期待されています。しかし、比較的軽症・無症状が多いとされる20~30代が多数を占める大都市部の感染が、既往症や高齢者が多い地方に拡散する可能性が懸念されるところであり、実施時期の前倒しよりも感染拡大を防ぐ対策(準備)が先決だと思います。7月14日の全国の新規感染者数は、大都市圏を中心に前日より72人多い333人で、島根県の丸山知事は現状での首都圏との交流は時期尚早とする見解を述べ、東京都の小池知事も「不要不急の他県への移動はお控えいただきたい」と呼びかけるなど、大都市周辺でのクラスター収束の兆しが見えない中での実施には小首を傾げざるを得ません。速報では、東京都新宿区の「新宿シアターモリエール」の舞台を鑑賞した島根県内の女子大生の感染が判明したとのことであり、拙速な政策判断によって都市部から地方への感染拡散が現実のものになることを危惧するところです。