4月29日の衆議院予算委員会で、安倍首相は、宮城県の村井知事などが提唱している学校の始業(入学)時期を9月とする制度変更について「幅広く様々な選択肢を議論すべき」とし、萩生田文科相は「国民合意が得られるのであれば大きな選択肢」と答弁しました。2月27日の首相記者会見以降、多くの学校が臨時休校し、4月から始まる令和2年度の新学期はほとんどの学校で事実上延期となっています。安倍首相は国会答弁で、当初、5月6日までとしていた『新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言』の期間を当分の間延期する方針を示唆しており、ウイルス感染の収束時期が不透明な現状を考えれば、9月入学は極めて適切かつ現実的な対応だと思います。高校生や学校現場、保護者からは今年度の授業時間確保が困難なことや従来から受験の時期が大雪やインフルインフルエンザの流行、海外留学とのギャップなどの理由からも支持する意見が多いように思います。若人が青春の炎を燃やす春の選抜や夏の総体(選手権)、文化祭など学生生活で経験するかけがえのない機会がことごとく奪われている事態を考慮すればなおさらです。ただ、「4月から8月までの時間ロスとコスト負担増大」 「新規採用の半年延伸による人材不足の増加」「学校教育法など法律改正の必要性」などを理由に声高に『反対』を唱える勢力も少なくはなく、実現には相当のエネルギーが必要です。「時間を半年止めることのリスク」は考慮されるべきですが、ウイルス感染による景気停滞で来春の雇用情勢が厳しくなることは容易に想像できますから、今国会での法律改正を躊躇する理由は少ないと感じます。