ついに、新型コロナウイルスの感染は世界保健機関(WHO)が「緊急事態」を宣言する事態となりました。国会は1月31日の「桜とIRの集中審議」とする予算委員会が新型コロナウイルス論議一色となり、安倍首相は、「2月1日から入国申請前14日以内に中国湖北省に滞在歴があるすべての外国人の入国を拒否する」と水際対策の強化を表明しました。しかし、この1週間、国会の補正予算審議は「桜とIR」に終始した観があり、1月25日前後の「春節休暇」で、武漢からの旅行者を含む多くの中国人旅行者を受け入れた結果、持ち込まれたウイルスの2次感染が発生してしまいました。日本国内に持ち込まれたウイルス感染が次々に確認される状況がありながら、なお、国会では「ウイルス封じ込め」についてまともな議論が行われておらず、議員各位の『危機管理意識』には小首を傾げざるを得ません。とりわけ、政府が手配した武漢からの帰国チャーター便の搭乗者を完全隔離せず、「人権にかかわる」としてウイルス検査を拒否した者の帰宅を許容した厚労省の判断は、理解の範囲を超えるものです。外電によると、米国は公衆衛生に関する緊急事態を宣言し、「感染拡大を防ぐため、過去14日以内に中国を訪れた外国人は、米国内に近親者がいる場合を除いて入国を禁止、湖北省を訪問した米国人については、帰国後14日間は隔離、湖北省以外の中国を訪問した米国人は自宅待機を命令」とのことであり、人権重視を国民の健康や生命と引き換えにする愚は避けなければなりません。政府は1日も早くコロナ対策の補正予算を編成し、新年度に予算を繰り越しする手続きを行って、機動的かつ的確な対策が実行できるように対応すべきです。