9月8日は二十四節季の白露。暦便覧に『陰気ようやく重なりて露にごりて白色となれば也』とあるように、草花には朝露がつき、稲穂やススキの黄金色が稔りの秋を感じさせます。また、9月9日は「人日」「上巳」「端午」「七夕」に続く五節句の「重陽」で、古来から不老長寿や繁栄を願う節会の行事が行われてきたことに因み、9月15日から老人週間が、第3月曜日が「敬老の日」として祝日に制定されており、各地で高齢者の長寿を祝う催しが行われます。ただ、この時期は、大気が不安定になりやすく、秋雨前線や秋の長雨と言われる大雨や台風の襲来で大きな災害が発生する時期です。今年は各地で時間雨量100mmを超える豪雨が伝えられていますが、一昨日の台風15号は伊豆から東京湾周辺を直撃し、最大瞬間風速が50mを超える強風と大雨によって電気・水道などのライフラインや交通網がマヒするなど、大きな被害となっています。大方のメディアは今回の首都圏の災害は「想定外の強風」が要因と報じていますが、気象通報は「想定される風の強さは4060m」としており、平成3年9月の台風19号が60mを超える暴風によって甚大な被害を発生させことを考えれば、防災・減災に対する備えの甘さは東日本大震災の津波と変わりません。さらに、自然災害の発生時に「『普段と同じ』という意識が生じさせる社会の混乱」に考えが及ばない首都圏住民の現実には背筋の凍る思いがします。