4月29日、溝口善兵衛知事は任期満了をもって退任されます。溝口知事は、東大経済学部を経て大蔵省に入り、国際局長や世界銀行理事、財務官などを歴任し、国際金融に通じた島根県益田市出身のキャリア官僚で、平成19年4月、島根県知事に就任されました。「地財ショック」と言われる地方交付税削減で財政状況が大きく悪化した中で、新規のハコモノ建設を抑制し、手堅い財政運営で危機的状況を改善させ、少子高齢化による人口減少で活力低下が続く県内の振興には交流人口の増に資する観光振興が必要として、「観光立県」を掲げ、「ご縁の国キャンペーン」で首都圏などでの島根県の認知度は大きく向上しました。「知事は行政のトップ」として調整型に徹する溝口イズムが「知事は政治家たるべし」とする議員と衝突する場面もありましたが、石見銀山の世界遺産登録や県版GAPの「美味しまね認証」、医療情報NETの「まめネット」、学校図書館の充実や35人学級などは他県からの視察が絶えない大きな功績です。ただ、国際派の知事故に、高速交通網の整備が立ち遅れ、海外からのゲートウェイを持たない島根県が「国際化」の流れに対応できていないことは残念でした。一昨年秋から食道がんの手術、治療もあって必ずしも万全とは言えない体調で、まさに「命がけ」の公務遂行にはご苦労も多かったと思いますが、12年に亘る県政遂行の労を多とし、心から感謝を申し上げますとともに今後のご健勝をお祈り申し上げます。