ウップルイノリは摘み取りの様子が冬の風物詩とされ、「食の文化財」と形容される島根半島の西側で収穫される岩ノリで、晩秋から初冬にかけての「かもじ海苔」は薫りが高く、最高級の岩ノリとして知られています。島根半島地域では、旧正月5日に執り行われる和布刈神事を境にワカメの収穫が始まり、特産品の板ワカメが各地の店頭に並びますが、この時期には、収穫量が少ないため、商品としての流通はほとんどありませんが、「カシカメ」と称される海藻(ハバノリ)の生産が行われます。カシカメは、我が家の食卓には欠かせない食材で、先日、「ダイシャ、アッタジ(少しだけど、摘み取りしたよ)」との連絡を受けて、漁家から分けてもらいました。炭火で焙り、手で揉み、熱いご飯にのせ、ちょっとの醤油をかけて食べると、おかわりが進んで妻が「魔法のふりかけ」と笑いますが、紛れもなく、平成3年の皇太子行啓の折に使用した県産食材の1つです。少し前に出雲市の十六島湾内で水産技術センターが漁業者の協力でセイヨウハバノリの養殖試験を実施したと聞いていますが、後世に残しておきたい磯場ならではの香と味です。