旧暦の1010日にあたる11月17日午後7時から国譲りの舞台とされる稲佐の浜で八百万の神々を出雲にお迎えする神迎神事が行われ、今年も神在祭が始まりました。出雲大社にお集まりになった神々は、11月18日からから24日までの7日間、大社の西方にある上宮で目に見えない人生諸般の事柄を神議りにかけてお決めになります。旧暦10月を出雲地方だけが「神在月」と呼ぶ所以で、この時期、出雲地方では歌舞音曲を慎む「お忌みさん」とされてきましたが、今は、東京から飛行機の臨時便が運航されるなど、全国から神力のご利益を求める参詣者が殺到しています。ところで、今年の秋は例年に比べて暖かい日和が続きましたが、さすがに朝晩の冷え込みが1ケタの気温となり、遅れていた野山の紅葉が一気に進んだように見えます。このほど、出雲市では斐川町の常松家住宅、大社町の上野家住宅、平田町の酒持田本店の向座敷・土蔵が国の登録有形文化財に指定されましたが、近隣の風景が朱や黄色に染まる一瞬は、もの悲しくも美しく感じられる時期であり、私たちにとっては住んでいる地域を静かに再見する時節到来です。