10月30日、韓国最高裁は第2次大戦中に強制労働させられたとする元徴用工の訴えを認め、日本企業に1人あたり1億ウォンの賠償命令が確定しました。1965年、日本と韓国は日韓請求権協定を締結して国交正常化を果たし、今日まで、韓国政府も徴用工にかかわる補償請求権は解決済との立場をとってきましたが、慰安婦問題と同様「国家間の条約は個人には遡及しない」とする奇妙奇天烈な司法判断と国民世論を恐れて曖昧な態度に転じた政府対応によって日韓関係は危機的状況に陥りました。今年は1998年に金大中大統領と小渕恵三首相が未来志向で両国関係を発展させるとした「日韓パートナーシップ宣言」から20年となりますが、国交正常化の法的基盤を根本から覆す司法判断を韓国政府が容認すれば、「日韓は同じ価値観を持つ隣国」という形容など絵空事になってしまいます。戦時中は朝鮮、台湾を含めた日本人のほぼ全てが国家総動員法によって軍事招集または徴用されており、すべてが個人の意思に反する「強制連行」や「強制労働」にあたるのかはつまびらかではありませんし、韓国と日本が外交交渉で合意し、締結・批准された条約を反故する事態に、法治国家としての信用失墜は免れないところです。日本政府が、日韓請求権協定による個人請求権の消滅について、国家間の約束事として一歩も引かない断固たる対応を執ることは当然です。