5月24日、「アメリカのトランプ大統領は6月12日に予定されていた北朝鮮の金正恩労働党委員長との首脳会談の中止を表明」と報道されました。米朝の仲介役とされた韓国の文在寅大統領との米韓首脳会談直後の会談中止表明は、米側が「検証可能で不可逆的な非核化は絵空事」と判断してのことだと思います。核開発に突き進んでいた北朝鮮が平昌五輪を機に対話姿勢に転じた要因は、国際社会の経済制裁に「そうせざるを得ない事態」に追い込まれたからですが、習近平主席との首脳会談で中朝関係を修復し、中国という後ろ盾を得て、微妙に姿勢を変えたと感じます。唐突に見える会談中止報道ですが、米韓首脳会談の冒頭でトランプ米大統領が「われわれは一定の条件を求めている。それがなければ会談は行われないだろう。」と述べており、ペンス副大統領のリビア発言を加味すれば会談中止は織り込み済みとも考えられますが、米朝の指導者はともに海千山千で、本音のところは不明です。しかし、このまま推移すれば、融和の期待が膨らんだ朝鮮半島情勢は一転不安定となり、周到な準備をしないまま仲介役を自任した文大統領と韓国の信頼失墜は免れないところであり、日本海が緊張の海となって、拉致問題の解決が遠のく事態は何としても避けてほしいところです。