日本大学(日大)の選手が関西学院大学(関学)の選手に悪質なタックルで負傷させた行為がアンフェアプレーとして糾弾され、グラウンド内の問題が大きな社会問題に発展しています。これは、5月6日に開催された学生アメリカンフットボールの名門校である日大と関学の定期戦で、パスプレーを終えた無防備な選手を後方からタックルするなどの明白な反則行為が、「試合前のハドル(作戦会議)で監督から指示されたもの」とする疑問が出されたことによるものですが、関学側の抗議に対し、日大側はホームページ上で謝罪文を掲載、広報部を通じてコメントをしたのみで、当事者の記者会見などの対応をせず、「適切な事後処理を怠り、選手に対する監督責任と反則行為に対する説明責任を放棄し、反省もない」とするマスコミ報道もあり、問題が加速度的に大きくなってしまいました。スポーツは「ルールを守る」ことが前提で、「ルール違反の指示」など論外で、「あり得ないこと」です。試合を主催した関東学生連盟は反則行為を行った選手を対外試合出場禁止とし、監督に厳重注意処分を科しましたが、西村康稔官房副長官は記者会見で「文科省が必要な対応を執る」と語っていることから、監督の辞任やアメリカンフットボール部の廃止という事態になる可能性も予測されるところです。一連の推移を見ていると、危機管理の要諦である「適切な初動判断」を誤った対応のツケは、米国体操協会のチームドクターによる性的虐待問題で、5億ドル(約550億円)の賠償金支払いが報じられたごとく、「途轍もなく大きな代償が必要となる」と感じます。