愛媛県今治市の刑務所作業場を脱走した平尾龍磨受刑者がJR広島駅付近で身柄を拘束され、4月30日に単純逃走容疑で広島東署に逮捕されたと報道されました。逃走から23日を経過しての逮捕に、関係住民は一安心と言うところです。しかし、潜伏先を広島県尾道市の向島と見て、延べ15千人を超える捜査員を動員して徹底捜索した愛媛、広島の両県警の『水も漏らさぬ網の目』は、「泳いで瀬戸内海を渡った」とする供述に、島外への脱出を許した原因が、捜査関係者の「思い込み」にあったことを如実に物語っています。島の住民によると、向島から本州の尾道までは約200mで、「昔はよく泳いで渡った」とのことですが、「今の時代にまさか・・・」という観念が「徹底した検問で島内に閉じ込める」とする捜索方針を変更できなかった主因で、約5億円と見積もる捜査費は無駄になりました。また、逃走理由が、「刑務所での人間関係に嫌気がさした」と聞き、受刑者に対する人権擁護が保証されている日本ならではのこと思いますが、これも「ご時世」と妙に感心する次第です。