東芝や神戸製鋼のデータ偽装や大相撲の横綱日馬富士による傷害事件、新幹線の台車亀裂事故など危機管理の甘さから生じる事案が頻発しています。東芝や神戸製鋼は会社の存続に関わるほどのダメージを蒙り、横綱日馬富士は引退に追い込まれました。とりわけ、「のぞみ」の重大インシデントは重大事故には至らなかったものの、「世界に誇る新幹線の安全性」どころか、福島原発に続く「人災」で、世界中から信頼されてきた『日本人の安全に対する認識』を根底から覆すほどの一大事です。「JRの運行技術やダイヤの正確さは世界一」と評価され、事実、多くの日本人はそう思ってきました。しかし、それは、かつて言われていた「原発の安全対策は万全」という認識とどこが違うでしょうか。「新幹線は安全」との過信が、台車に14センチもの亀裂が入った状態で3時間も走り続けた要因であり、「走行中に異変を把握したら、即刻停車をして点検する」という安全マニュアルの無視につながったことは疑う余地のないところです。東日本大震災は私たちに「絶対の安全など存在しない」「事故が起きる」という認識と「被害を最小限に留めるための備えこそ安全対策である」という意識を持たせたはずでしたが、大震災からわずか7年足らずでの失念は、「社会の緩み」の兆候で、大きな警鐘だと感じています。