出雲平野は斐伊川の下流に広がる連担地で、島根県有数の穀倉地帯です。とりわけ、宍道湖に面する最下流域は地下水位が高く水稲栽培に適した地域ですが、それ故に花き・花木、果樹、野菜などの生産に支障があり、近年はコメの消費が減少と価格の低迷を集落営農と担い手への農地集積による大型化で対処してきました。現在、コメの販売価格は昭和50年代の3分の1程度であり、現状を打開するには圃場の区画整理と乾田化(汎用化)を図るための土地改良を行う必要がありますが、斐伊川最下流の北岸地域約500㌶の土地改良事業には莫大な費用が必要で、実施は困難視されてきました。国は自由貿易協定の拡大を掲げ、農業も例外とせず国際化するとの方針に伴い、農林水産省は平成25年度から5年間(平成34年度まで延長)大規模の農地集積を条件にした緊急農地再編事業を国の直轄事業として実施しており、平成26年度に斐伊川北岸の地域(国富、平田、灘分、東)約470㌶を対象とした土地改良事業が起案されました。曲折はあったものの、国の事業採択に向けて宍道湖西岸地区土地改良事業推進協議会(多久和修一会長)によって営農プランの作成や換地、水利、農道整備などの計画がまとめられ、ほぼ、対象農家の同意が得られたことから、平成30年からの事業着手が有望となりました。概算事業費は約260億円と見込まれ、事業期間は10年程度とされていますが、事業推進には予算確保が不可欠であり、出雲市は推進協議会に農業団体や経済団体を加え、5月8日、長岡秀人市長を会長とする宍道湖西岸地区土地改良事業促進協議会を設立して精力的な要望活動を行うこととしています。