平成13年4月に施行された土砂災害防止法は、都道府県に対し土砂災害防止対策基本計画の策定に必要な調査の実施を行った上で、『土砂災害警戒区域(イエローゾーン)』と『土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)』の指定を行ってこれを公表することとされています。島根県は地すべり地域など土砂災害の危険地域に指定されている箇所が20,000を超えていますが、様々な理由からレッドゾーンの指定は江津市の一部だけで、ほとんどがイエローゾーンの指定に止められています。島根県議会の建設環境委員会(加藤勇委員長)は県内すべてのエリアで指定を終えている長野県を訪問し、現地調査を実施しました。レッドゾーンに指定されると住宅宅地分譲や社会福祉施設、学校、医療施設の建築が許可制となるほか建築物の構造規制が講じられるなどの行為制限があるため、住民の理解が得られにくく、「島根県では指定の必要性はあるものの、『危険性の周知に止めている』」地域が多いようですが、長野県は県内の居住地域が比較的盆地の平坦地域にあり、移転や防災工事が容易であったことが幸いした」とのことで、島根県は急峻ながけ地や海岸など移転が難しい地域が多く、地理条件や地域事情が異なるように感じました。しかしながら、ゲリラ豪雨や台風、地震などの自然災害から家屋や公共施設を守るためには、平時からの危険周知が不可欠であり、ハザードマップの配布徹底など、何らかの対処が求められることは必至です。