大阪府は関西空港で発生した麻疹(はしか)の感染者が94日時点で計34人となり、急速に感染拡大が懸念されると発表しました。麻疹、水痘(みずぼうそう)、結核の3つは空気感染するため、インフルエンザなどの一般的な呼吸器感染症と異なり極めて感染力が強いのが特徴です。特に麻疹は「R0」が1218とされ、免疫を持っていない人が感染するとほぼ100%発症すると言われます。麻疹は1012日の潜伏期間を経て鼻水、のどの痛み、咳など風邪と似た初期症状の後に、烈しい発疹と高熱が顕われ、重篤な場合は肺炎や脳炎などの合併症で死亡することもあります。麻疹は特効薬がないため、ワクチン接種によって免疫をつけることが不可欠で、予防に勝る治療はありません。世界保健機関(WHO)西太平洋地域では、2012年までに麻疹を排除することを目標に決め、日本では20066月からは、1歳児と小学校入学前1年間の幼児を対象としたMR(麻疹・風疹混合)ワクチンの定期接種が始まっています。また、2008年度から5年間の時限措置として、中学1年生と高校3年生相当年齢の者に対する2回目の予防接種が予防接種法に基づく定期接種として導入されたものの、2030代の10%以上が予防接種を受けていないため、感染しやすい人がまだ多く残っており、このまま感染が拡大すれば「日本は渡航することが危険な国」とされるおそれがあります。


RO(基本再生産数);ワクチン接種などを受けていない、感染しやすい人が集まっている集団に、ある感染症をもった人が入ってきた場合に、感染症をもった1人が平均して何人に感染するのかを示す数値で、「R0」が1であれば、1人から1人に感染させるということを意味し、10であれば、まわりの10人に感染させることになる。