英国はレファレンダム(国民投票)で欧州連合(EU)離脱を選択した。キャメロン首相は2013年の総選挙で「スコットランドの独立」と「EU離脱」を問う2つのレファレンダムを公約して勝利したが、いずれも「否決できる」と目論んだ投票結果は予期せぬものとなり、独立は辛うじて阻止できたが、離脱は避けられなかった。

「住民が主役」であるからには住民意思の尊重は政治の一丁目一番地である。しかし、例えば「増税や年金、医療給付の引き下げの是非」についてレファレンダムで決めるとすれば、ほぼ「非」とされるに違いない。だからこそ、為政者や議会には、時に『民意に逆らう決断』が求められ、国や地域の将来に対する責任を果たす大きな役割が与えられているのではないだろうか。

日本では参議院選挙の真っ最中である。政権を担い、中国艦船の尖閣侵犯に対峙した経験を持つ民進党は、国防の重要性や日米同盟の必要性を知りつつも安保法制を「戦争法」と揶揄する政党と結び、年金・医療・介護の制度崩壊を煽るが、目前の選挙を意識した所作には政治家の矜持と誇りは欠片も感じられず、とても共感を呼ぶとは思えない。

「政治家は『住民の半歩前を行け』」と言われる。それ故に、政治家には、不人気な政策で、たとえ選挙で不利となっても、住民にその必要性を辛抱強く説き、理解してもらうための徹底した努力が求められるのであり、住民もまたそうした政治家の出現を待っているのである。

英国のキャメロン首相は、国民を納得させる地道な努力を怠り、自らの打算に負けてしまった。結果責任は大きく舛添知事同様、退場願うのみだが、その代償は余りにも大きい。