千葉県で保育園の開設が住民の反対で中止になったと報じられています。住民への事前説明が不足したことが原因とされていますが、「子どもの声がうるさい」「交通渋滞する」などの反対理由はため息が出るほど悲しく思います。私たちは生まれたら必ず死にますから、社会を存続させるには子どもが生まれることが条件で、子どもを育てることは社会が最優先すべき事項です。現在は、核家族化と女性の社会進出などによって、家庭での子育てが難しくなり、保育園の必要性は加速度的に大きくなっていますから、少子化の克服のためにも、子育て支援の充実は待ったなしの課題です。数年前に東京都で、保育園の騒音を不満として保護者を手斧で脅迫した人が逮捕されたことがありましたが、子ども達の声を騒音と感じる人の増加は、日本社会が崩壊に向かっているという危険信号です。国の社会保障給付費に占める家族・児童関係費はわずか4%で、児童手当の水準も低いことから、子どもを社会全体で支え、育児を世代間の助け合いで手当てするという介護ならぬ育児保険の導入を提案する声まで出始めました。当たり前の意識の消失が顕著となっているように感じ、『日本社会の変質、ここに極まれり』、残念です。